報酬は夜のお出かけで。

本当に夢のような気分でした。
朝起きたらベッドに一人。

『…あれ、本当に夢だったのかな…?』

思わずそう思った程です。
しかし昨日はとても拷問のような時間を過ごしました。
イケメンはちょっと怖いです。
なんでもかんでも白状させようとします。

『ま、いっか…なんか一件落着って感じだし』

ベッドから降りてまずシャワーを浴びてから上裸のままでキッチンに向かったら冷蔵庫にサンドイッチが入ってました。

…夢じゃなかったー!
イケメンがいた証拠ですね!
きっとお仕事か何かで行ってしまわれたんですね、お疲れ様です!

サンドイッチを齧りながらパソコンをチェック。
タブレット端末もちゃんとハッキング対策のプログラムを更新しておいた。
さて、今日はどうしようか。

昨日鬼のように仕事してしまったからなあ…
たまには遊んでこようかな、日本で遊ばないと…!

というわけで今日は東都水族館というところにやって来ました。
平日の昼間っから一人で水族館です。
誰だ、寂しい奴だなんて言ったのは。
贅沢ですね、見放題、とか思ってたのに思ったより人がいた。
しかも子供までいる。
何故だ。

それにしても凄い規模だなあ…
こんなに大きな水族館、モナコの海洋博物館の水族館以来かも
東京にもこんな所があったんだねぇ…
あー、あれ美味しそう、食べれそうだよね
水族館の魚って食べれるのかなあ?

「あれ、哀ちゃんのボディーガードさんですか?」

おや、この声は…

振り返ってみたら、コナン君と哀ちゃんのお友達だった。

『えっと…光彦君だった?
久しぶりだね』

「はい!お久しぶりです!
今日はどうされたんですか?お一人なんですか?」

「おい、待てよ光彦!
って、灰原のボディーガードじゃねえか!
こんな所で何してんだ?」

『あー…君は元太君だったね?
今日は東京観光って感じかな』

「一人で来たのかよ、友達いねーのか?
寂しい奴ー」

おい。
君だったか、寂しい奴とか言ったのは。

「きっとルイさんは一人で落ち着きたかったんですよ!
何かあったんですか?
失恋でもしたんですか?」

何故そうなる!?
どんなマセガキなんだ!君達は!

『いや、何もないけど…魚が見たかったっていうのは理由にならないのかな?』

「お魚さん好きなんですか?」

『うん、好きだよ』

「あー、ルイさん!」

おっと、小学生女子の登場です。
彼女は確か歩美ちゃんです。

『歩美ちゃんもいるという事は…後の二人と阿笠さんも一緒なのかな?』

「大正解です!」

そんなことだろうと思ったよ…

ハハ…と苦笑していたら、案の定マセガキ二人と阿笠さんがいらっしゃいました。

「ルイさんもいらしてたんですか…!」

『こんにちは、阿笠さん
今日って平日ですよね?
学校、お休みなんですか?』

「今日は祝日だぞ?
お前、大人のくせに何にも知らないんだな」

おい、元太君、君もなかなか生意気だな。

「しゃーねえよ、元太
日本とフランスじゃ祝日の日にちは違うんだし、日本の方が祝日が多いんだ
ルイさんが戸惑うのも当たり前だろ」

ナイスフォローありがとうございます、コナン君。

「そうなのか?
祝日って全世界共通じゃねーのか!」

「僕も聞いたことがあります!
フランスは日本と違って第二次世界大戦の終戦記念日が8月ではないと聞きました!」

『あれ、よく知ってるね
フランスはドイツの降伏と共に戦争に勝ってるから5月に戦勝記念日があるんだよ』

光彦君はなかなか物知りさんなんだよな…
喋り方からしてしっかりしてるし、多分教育家だな

「で、貴方、なんで一人でこんなとこ来てるのよ?」

『…気分転換、かな
昨日山のような仕事終わらせたら警視庁から仕事の依頼が来て…それが終わったら今度は尋問に合ってね…
そこそこハードな一日だったから魚でも見て癒されようかと…』

「…一応言っておくけど、水族館の魚は食べられないわよ」

『な、何言ってるのかな、哀ちゃん』

「貴方の考えそうな事じゃない
どうせ魚食べたいとか思って眺めてたんでしょ?」

呆れた顔されました。
はい、ご名答です。

『そんな幼稚なこと考えてませんよ』

「猫の考えそうな事くらいわかるわ」

ムッとして言い返そうとした時だった。
電話が鳴ったので取り出して画面を確認してみたらまさかのイケメンでした。

おおお、イケメンからの電話です!
水族館って言ったら来てくれるかな?
いや、でもこの名義で電話って事は…多分…

子供達から少し距離を取ってから電話に出た。

『Allô, ça va?』
(もしもし、お元気ですか?)

[とても元気ですよ、クロードさんもお元気そうで何よりです
突然で申し訳ないのですが、先日見つかった情報について少しお話がございまして…今日はお時間大丈夫ですか?]

お…?
おお…?
これはもしや…

『日仏合同捜査ですか!?』

[え?あ、はい、まあ、そうなりますけど…
出先なんです?
ご自宅ではありませんね、騒がしいようですが…]

ハッとしたら、いつの間にか子供達が近くまで来ていた。
生憎電話で左耳が塞がっているので右耳から周囲の音を拾うのは非常に困難な状況にある。

『あー…今水族館にいまして…入ったばかりですけど』

[貴方、本当に魚好きなんですね…]

『今日は東京観光してただけです!
本部に伺えばいいんですか?』

[ええ、ご都合が宜しければ…]

『今から参ります』

通話を切ったら子供達からジロジロ見られました。

『ごめんね、仕事入っちゃったから…』

「お休みの日なのに仕事なんですか?」

『日本とフランスじゃ違うって話、したばっかだろ?
フランスじゃ今日はれっきとした平日だよ
じゃ、またね、salut les gars.』

ひらりと手を振って水族館を後にした。
今日は私服だけど襟付きシャツだし、スキニーパンツにローファー。
完全にオフですがオフィスカジュアルだと思っていただきたい。

本部です!
今日は久しぶりの警察庁…!
ということは、ということはですよ!
おスーツ!
降谷さんのおスーツ姿が拝めるかもしれません!
レアです!
激レアです!

超楽しみ、と思ってご機嫌で警察庁に伺いました。
部下さん達はすれ違うといつも忘れず挨拶をしてくださいます。
いい人達ですね、上司の教育のおかげなのでしょうか。

「今日のクロードさん、いつもよりラフでなんかイイな…」

「まあ、突然呼び出したからオフだったんだろうな…
襟元が少し開いてるのは気のせいか?」

「いや、鎖骨がチラ見してるのはかなりエロいですよ
流石フランス人っすねえ、オフでもお洒落です…」

「今日のクロードさん、破壊力半端ないっすね…」

さてさて、ようやくお目当のお部屋が近付いてまいりました。
おスーツ姿、超楽しみです。
ドアをノックしてから今日は元気にご挨拶。

『Bonjour monsieur!Comment allez...』
(こんにちはー!お元気…)

ご挨拶の筈が。
部屋にはなんと降谷さんだけでなくて数人の部下さん達がいらして何やら重たい空気が漂っていました。

『…す、すみません、部屋間違えました』

「間違えていませんよ」

『だ、だってこんな、聞いてませんよ!
何なんですか、この重たい空気!』

ずどーんとしていました。
なんだか見てるこっちの体力を奪われそうなくらいです。
ですが、大事なのはイケメンです。
降谷さんを見たら、念願のおスーツ姿でした。

スーツ!
スーツですよ、皆さん!
報道局!速報出してください!
降谷さんのスーツです!拝み倒しましょう!

『降谷さん…!』

今日はスーツなんですね、本当に素敵です、お似合いですよ
だから今日早く出掛けていかれたんですね、納得の理由です!
ひえええ、スーツ!
イケメン!激レアです!

「何ですか」

『あ…すみません
あの、ちょっとモノローグが溢れてしまいました』

「何なんですか…」

だけど俺が来たら皆さんちょっと和んで下さいましたよ、嬉しいです。
同時に降谷さんの機嫌が少し斜めになりました。
何故でしょう。

「急にお呼び立てしてしまってすみませんでした
この案件についてなんですけど…」

渡された資料を見て愕然とした。
そりゃ皆も重い空気になるわけだ。
かなり複雑なハッキング解除が必要なようで派遣されました。
つまりこれは、あの、面倒事を任されたようなものですね。

「お願いできますか?」

い、嫌とは言えないし…
ていうかイケメンにそんなおねだりされたら断るなんて以ての外ですよね…
いや、スーツの降谷さん拝めたんだ、それ相応の仕事はしないといけない
激レアの降谷さんだぞ…!
そして日仏友好関係向上に向けて頑張るのが俺の仕事ですね、理解しました!

『はい!任せて下さい!』

答えてしまった。
まあ、どのみちこのハッキング解除ができればこの情報は俺も貰えるわけだし損はない。
ただ問題なのは、異常なハッキング対策がされている事だけだ。

「わからない事があったら聞いて下さって構いませんので」

『はい!』

嬉しい。
スーツの降谷さんとパソコン越しにお向かいです。
とっても癒されます。

…しかし、まあ、厳重な警戒態勢ですね
ハッキングしようにも本当に複雑なロックばかりかけやがって、この野郎…

流石に俺でも苦戦しています。
なのでいくら降谷さんがいらっしゃるとはいえ、部下さん達も苦戦したんだろう。

『Putain...』
(クソ…)

ボソッとモノローグが落ちてしまいました。
これはいかん。
しつこいロックの解除に少しイライラしてきた。
それに元々癒されるために水族館に観光に行ったのになんで結局仕事してるんだろう。
考え始めたら止まらなくなってきた。

あ、ヤバい、イライラしてきた…

「進捗、どうです?」

ビクッとした。
いきなり左側から話しかけられてちょっとだけのけ反りました。
本当にびっくりしました。
至近距離イケメンです。

『そ、そうですね…50%といったところですかね…
流石にこれは手こずりますね』

「そうですか、クロードさんでも手こずるとは相当厄介者ですね」

『そうですねー…』

いくらイケメンでもちょっと元気出なくなってるくらいには疲弊してます。
家での作業だと散々文句をブチまけてやるのですが、ここではそうはいきません。

『ちょっと集中するので暫く話しかけないでください、お願いします』

下手するとパソコンに向かって怒鳴ることがあるので今日はそれを絶対に回避するためにシャットアウトします。
お仕事モードのスイッチオン。
レッツお仕事です。

俺のハッキング能力ナメんなよ、この野郎…
なんか燃えてきた、これ解除できたら結構な功績だよね?
日仏友好関係向上ですよね?
頑張れます!

周りの部下さん達の存在を全てシャットアウト。
頭も指もフル稼働です。
たまに話しかけられたような気もしますがシャットアウト。
1時間半後。
そっとエンターキーを押してみたら、ブワッと情報網が広がっていきました。
ビッグデータバンクへの進入成功です。

『Ça y est...c'est fini!Hé, j'ai fini..』
(よし、終わった…!ねえ、終わりまし…)

あれ。
また部屋間違えたかな。
部屋に誰もいないんですけど。

『…え?』

とりあえず降谷さんに電話を掛けてみることにした。

…え、出ないし!
ちょっと、まさか別の捜査か何かに行ってるんじゃ…

部屋で一人項垂れてデスクに倒れこみました。
雑用押し付けられて苦戦してやったのになんで誰も部屋にいないんですか。
何これ、新手のイジメですか。
泣いていいですか。

…なんで!?

暫く待ってみても一向に戻ってくる気配がない。
電話の折り返しもないし、本当に取り残されました。
半泣きです。
俺の水族館の入館料どうしてくれるんですか。
入ったばかりでほとんど見てませんでしたよ。
沈黙。

もうやだ、帰ろうかな…
いや、挨拶なしに帰ったら日仏友好関係によろしくない…

夕方になっても帰ってこないのでもう泣き始めました。
どうせ寂しい奴です。
仕事ですら相手がいなくなりました。

「クロードさん、戻りました
進捗いかがですか?」

「戻りましたー!」

え…?

椅子の上で泣いていたら、部屋に皆さん戻ってこられました。
どういう事でしょう。

「クロードさん…!何かあったんですか!?」

いや、それ聞きたいのこっちなんですけど…

やってきた降谷さんはちょっと焦っていました。

『…お、終わったのに、誰もいなくなってて…
電話もしたんですけど出られなくて…いつまで経っても誰もお戻りにならないので…』

「…あの、一応お声掛けはしたんですけど」

ティッシュを持ってきた降谷さんに涙拭かれてます。
ちょっと幸せとか思ってごめんなさい。
でも寂しかったんですけど。

「あ、電話は気付きませんでした、すみません…
3時間前ってことは…」

『3時間前に仕事終わりました』

「それから貴方、何してたんです?」

『泣いてました』

「…恐らく聞いていないだろうと思ってメモも残しておいたんですが…」

パソコンの横を指差された。
そこにはイケメンの綺麗な字で書かれた付箋が貼ってありました。

"別件の潜入捜査に行ってきます
長時間掛からないとは思いますが、もし終わりましたらこちらの番号まで連絡してください"

ん…?
この番号って…

慌てて自分の発信履歴を見る。

…あれ、安室さんに電話してる
そりゃ出ないわけだ
なんで降谷さんに電話してないの!?
馬鹿なの!?
何なの!俺!

自己嫌悪です。
完全に自分のせいでした。

「ま、まあ…無事に解除していただけたようですし、後は我々で進めるので大丈夫ですよ」

『……』

なんでだろう、まだ泣き足りないくらいなんかモヤモヤしてるんですけど…

「コーヒー買ってきます」

降谷さんは部屋を出て行かれました。
部下さん達にもすみません、と何故か謝罪して、多分気持ち的になんか謝罪したくなったんだと思う。
そしたら寂しかったんですね、と同情されてしまった。

そりゃ寂しいに決まってるだろ、この野郎…

缶コーヒーを持って戻ってきた降谷さんはちょっと部下さんに冷たかったです。

ねえ、貴方、部下さんに優しくするんじゃなかったの?

「お疲れ様です」

『とりあえず今はハッキング対策のものは全て凍結させていますが、見つかるのも時間の問題かもしれません
一応コピーは既に取っておきました
それからこの事件関連だと大体この辺りの情報網辿っていけば行けそうですね』

「予想以上の収穫ですよ」

とりあえずコーヒーをいただいたので飲むことにした。
同じパソコンを覗いているので距離的にとても近いです。
ですがまだ元気が出ないということは大分体力を削り取られた模様です。
明日はダウンする確率が高いです。

「…さん、クロードさん」

トン、と肩を叩かれて左側を向いた。

「大丈夫ですか?」

『あ、はい…』

「急にこんな仕事でお疲れなのも無理ありません
送ります」

『あ、いえ…大丈夫です
自分で帰れますし…立ち寄りたい所もありますので』

「でしたらそこまでお送りしますよ」

降谷さんはたまに頑固な気がする。
お世話になりました、と部屋を後にして降谷さんと駐車場にやってきた。
いつもの助手席です。
シートベルトを締めて小さく溜め息を吐き出したら、降谷さんはいつの間にか安室さんになっていました。

え…?
いつお着替えになられたんです?
スーツ満喫したの、ちょっとの時間だったんですけど…

「今日は突然すみませんでした」

『あ…いえ…お仕事ですし』

「その割に、いつもより手が進んでいませんでしたよ」

『そ、それはまさかあんなセキュリティー解除だとは思っていなかっただけでして…』

「本当にそれだけですか?」

クッと顎を掴まれてイケメンと真正面から向き合ってしまいました。
イケメンです。
ちょっと元気になりました。

『……』

すごく、近いです。
下手したらチューできそうなくらい近いですよ。
事件です。
そっとイケメンの顔が近付いてきたのでもうびっくりですよ。
頭を撫でられました。

こ、これはちょっと嬉しい…

「行きましょうか」

『え?あの、俺、立ち寄る所が…』

「ええ、ですから行きましょうと言っているんです」

ちょっと待って、俺まだ何も言ってないよね。
ポカンとしてる間に車が発進してしまいました。

「何のために着替えてきたと思ってるんですか」

『…せ、潜入捜査ですか?』

「違いますよ、馬鹿ですか」

久しぶりの馬鹿いただきました。
心に刺さりますね。

「あの、突然のお呼び立てだったので私服なのは構わないのですが…
そのシャツ、襟が開きすぎです」

『…はい?』

「またナンパされますよ」

『…今日、されました?』

「今日は皆貴方の鎖骨ばかり見ていましたよ
流石に呆れました
今度からそのシャツで警察庁には来ないでください」

ええ…普通のシャツじゃん…
ちゃんと襟ついてるのに?
これダメなの?
安室さんてたまにわかんないよー…
ほんと予想の斜め上だよ、なんでー…?

とりあえずイケメンの思考回路が未だに理解しきれません。
首を傾げている間に到着してしまったのですが。

『え…なんで…』

「わかってましたよ、今日貴方の手が進まなかった理由くらい」

東都水族館でした。

えー、何これ、確かに帰り寄ろうと思ってたの此処だけど…
何これ、どんなサプライズなの?
え?
ちょっと理解が追いついてない…

「蛍さん、言ってましたよね?入ったばかりだったと
チケットはまだお持ちですか?
当日でしたら再入場可能なんですよ」

そ、そうなの!?
また買い直そうとか思ってたよ…!

鞄の中からチケットを探し当てた。
あったあった。

『お得情報までありがとうございます
送っていただいて…あの、助かりました』

車を降りたら、何故か安室さんも車を降りました。
入り口まで案内してくれるサービスか何かですか。
そしたら安室さんはチケットカウンターに行ってしまって、呆然としてたら手を引っ張られた。

「ほら、行きますよ
貴方の大好きな魚が待ってますよ」

『え…?
あの、お仕事は…?』

「部下に任せます
ちょっとくらい、息抜きしたらいけませんか?」

な、何ですか、これは…
神様…今日頑張ったご褒美なんでしょうか…
イケメンが水族館に連れてきてくれて、何かよくわからないけれど一緒に見て回るようです
え、え、本当にいいんですか…!

「今日は夜までやってるんです
好きなだけ見られますよ、貴方の大好きな魚達を」

『…はい!』

う、嬉しい…!
イケメンと水族館に来てしまいました!
大好きな魚も見放題です!
それに午前よりも家族連れがいないので混雑が緩和されています

『安室さん、あの、ありがとうござい…』

イケメンの人差し指が唇に触れました。
事件です。

「それは言わない約束です
今日は無理を言って仕事をしていただいたので感謝するのはこちらの方ですから」

イケメンは偉大です。
正義です。
もう今日のお仕事が苦戦してたこともどうでもいいです。
本当にありがとうございます、今日という日に感謝します。

『安室さん、ここのお魚って食べられるんでしょうか…』

「流石に無理があると思いますよ」





「水族館楽しかったね!
お魚さんいっぱいいたし、イルカさん可愛かったね、哀ちゃん!」

「そうね」

「あれ?
入場口にいらっしゃるのルイさんじゃないですか?
お仕事終わって戻って来たんでしょうか?」

「あ、本当だ
おい、話し掛けてこようぜ!」

「やめとけよ、元太
大体あそこで立ってるなら誰かを待ってんだろ
ルイさんは当日券を持ってるけど、一緒に来た人が買いに行ってるの待ってるだけだと思うぜ」

「ってあれ、ポアロのイケメンの兄ちゃんじゃねーか!」

「え?」

「あ、本当ですね、一緒に入って行かれましたね」

「あのフランスの兄ちゃん、本当に友達とかいたんだな…
俺、寂しい奴とか言っちまった…」

「大丈夫よ、あの人のことだからそれくらい言われ慣れてるだろうし気にすることないわ」

「そ、そうか?」

「(なんだかんだ上手くいってんじゃねーのか?あの二人…
明日ポアロで安室さんに話聞いてみっか…)」








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