「ユウちゃん!ユウちゃん!」
「………………。」
「え、しかと?ユウちゃんユウちゃんユウちゃん!」
「………………。」
「神田」
「何だ」
神田ユウという人物は何回名前を呼んだって振り向いてはくれない。しかし、名字で呼べば返事をくれるという自分の下の名前を極端に嫌う謎な男なのである。
「席替えとなりがいいな!」
「6番」
ユウちゃんの紙にはおっきな文字で6番ってかいてある。あれ、おかしいな、6番?
「え、まっておかしいあたし13番だよ。あと一番早かったら通路はさんで隣なのに!」
「興味ねえ」
「ちちんぷいぷいユウちゃんの隣の席になーれっ!あ、市川さん紙取り替えよ?……は?ふざけんなてめえいいから渡せよ」
バキ、ドカ、ガシャーン、キャー、ピーポー
「ごめんなさいはいいから早く紙よこせ」
* * *
「はぁ、はあ、っ!…ちちんぷいぷーい!ユウちゃんのとーなりっ!」
「随分となげえ魔法だな」
「ほらみて6番!あ、隅っこ血ぃついちゃった…」
「…6?」
「うん!魔法でゲットした」
「チッ、今13番拾ったとこだったのによ」
「え、(きゅん)」
(先生!田中が血みどろです!)
(市川紙返せやぁあぁああぁあ)
(誰か担架持ってこォオォォい!)