(あ、また…)
窓の外を悩ましげな顔で見つめる彼を見るのはこれで何回目になるだろうか。
「……らび……?」
遠慮がちに呼べばいつもの笑顔で振り向く愛しい人。けれど、それが作り笑いであることに長年一緒にいるあたしはすぐに気づいた。
「おー、おつかれさん名前。今回の任務は長かったさなー」
そう言いながらへらっと笑い、彼はあたしの頭をくしゃくしゃと撫でる。窓の外を見つめる先程の彼の面影は消えていた。ラビと出会ったのはもうずっと昔で、同じ師に学び、同じ将来を目指した。ブックマン、つまりは"傍観者"になることを。
「雪、つもったね」
「ああ、そうさね。俺も今それ見てたんさ」
(嘘つき。だってラビが見てたのはそんな雪景色じゃなくて、)
「あ、ラビ!名前!外見た?すごい雪!」
「ははっ、少し落ち着けさリナリー。いっぱい雪ついてる」
「え、やだっ、あはははっ、私ったら雪見て興奮しちゃって…」
「…あの雪だるま、リナリーが作ったの?」
「ええ、アレンくんと一緒に。名前たちもあとで一緒に作りましょう?」
「あたしは寒いからいいや、ラビ行っといでよ」
(きっと貴方が見てたのは)
「あははっ、やだーラビったら」
「リナリーこそっぶははははっ」
「あ、ラビ!僕の雪だるま潰さないで下さい!」
「おお、ワリーワリー!」
外から聞こえる笑い声。楽しそうな貴方の声。前はあんな笑い方しなかった。前はあんな表情しなかった。最近の彼は何もかもが新しくて、まるであたしの知らない人にでもなってしまったみたいだった。
いつから、いつまで