「なあお前将来の夢なに?」
「何急に」
「いや宿題なんさ、作文」
「わあ大変」
「人事だな。で、お前の夢ってなに」
「できれば働かないで生きて行きたいと思ってる」
「某国民的アニメの猫型ロボットのお世話になってる駄目男のような台詞だな」
ああコイツに聞いた俺が馬鹿だった。いや、「ラビのお嫁さん」なんていう可愛らしい答えを期待した脳内の俺の方が遥かに馬鹿だ。
「あーそういやうちのクラスも作文出てたわ」
「全クラス共通らしいさ」
「やっべどうしよ。総理大臣とかアリ?」
「うーん。ナシ」
「あれ、突っ込んでくれないの」
「今のボケだった?」
「ボケ殺しのラビえもんめ」
「いや意味わかんねーし。ちょいちょいドラ●もんネタ出してくんのもうぜえ」
そんな会話をしているうちに時間はどんどん経っていく。彼女は再び漫画に目を落として、俺は再びシャーペンを持つ手に力を入れた。
「おっし、できたー」
「まじでか。ちょ、あたしのもやって」
「何でだよ。自分でやれさ」
「さっきからずっと考えてたけど総理大臣と万引きG面と自宅警備員しか思い浮かばない!」
「最後のニートな。」
それだけ言って彼女は、ガサゴソと学校用のカバンをあさって既にグシャグシャになっている作文用紙を取り出して丁寧に伸ばしてから俺の筆箱のシャーペンを一本とった。
「うー、どうしよ…」
「結局お前はなんになりたいんさ」
「静ちゃん的ポジション」
「何故」
「あの健全なるアニメ番組をあそこまでのお色気シーンに変換できる女はいないよ」
「へえ」
「不二子も真っ青!」
「神様僕はどうなってもかまいません。どうかこの子の頭を助けてあげて下さい」
「ジーザス」
カチカチカチ、時計は刻一刻と時の流れを伝えていく。名前はあのあと何かが浮かんだようにカリカリと文字を書いていったのでもういいだろうと俺はベットに横になった。
「び、…ラビ、起きてー」
「………ん、?」
「もう17時だよー。ラビバイトじゃないの?」
「、やっべ!サンキュー名前!」
「うい」
「お、作文出来てる」
「そりゃあもうばっちし」
「結局何て書いたんさ?」
「ラビのお嫁さん」
「え、(きゅん)」
寝起きにずきゅん
「あれ、バイト行かないの?」
「今日は休む!」
「駄目!あたしのクリスマスプレゼントが!」
「本当お前最低」