手に入らないものこそ欲しくなる。開けちゃだめと言われればすぐさま開け、見ちゃだめと言われればどんな手段を使ってでも必ず見る。そんなポリシーの俺が今狙ってるのは…
「名前ちゃーん!」
「げっ、…なんですか」
「げってなんさ…、ユウなんかと別れて俺と付き合おう!」
「……いい加減しつこいです」
年下のこの子は親友☆(自称)のユウの彼女なわけで、そんなことを知った俺は当然のようにこの子が欲しくなった。そしていつものようにすぐに手に入るだろうと思っていた。顔は悪くない方だし、運動ではユウに負けるにしても勉強では負けたことがなかった。だけど、そんな俺の考えはどうやら甘かったらしい。
「神田先輩っ、あ、あの…きょ、今日のほ、ほほほ、放課後…っ」
「悪い、今日は部活がある」
「あ…、やっぱ…そ、ですよね…」
( あんな冷たくあしらわれてんのになんで… )
「ね、名前ちゃん、やっぱユウより俺にしなって。俺だったらあいつよりもうーんと優しくするさよ?」
「いえ、神田先輩以外興味ありませんから」
「そんな泣きそうな顔しながら言われてもなあ」
「っ、!…うるさい…っ」
「あらら、怒らしちゃった?」
「もういい加減にしてくだ…!」
「てめえラビなにしてやがる」
いきなり教室の入口に現れた黒い影は今の俺にとって最も邪魔な人物だった。
「神田先輩!部活は…」
「バックレてきた」
「え、だって明日試合じゃ…」
「うるせえ、黙っとけ」
そんなこと言ってるユウちゃんは耳まで真っ赤になってた。かーわいいさなあ…、どっちも。
「おいバカップル。俺は無視ですか」
禁断と言う名の甘い果実
(結構本気だったんだけどな〜…)