俺の筆箱にはシャーペンから消しゴムまでなんでもかんでも必ず2つずつ入っている。
「銀時シャーペン」
「…………、ほらよ」
「さんきゅー。なにその死んだ魚みたいな目」
「ほっとけ元からだ」
「あ、そっか。ゴメン」
「てかさー、お前さー」
「うん」
「いい加減自分の筆箱持ってこいよな!銀さんの筆箱もう小中学生の女子みたいになってんすけど。必要以上に色ペンぎっちりみたいになってんすけど。パンパンなんすけど!」
原因はただ一つ。幼なじみその1のコイツのせいである。だいたい、ケータイとか音楽プレイヤーなどといった余計なものは持ってくるクセに、一番需要があるはずの筆箱を持ってこないというのは一体どういう了見なんだコノヤロー。
「さかた→しゃかた→しゃーかた→シャーペン、みたいな?」
「ふざけんなぶっ殺すぞ。だいたいなんも上手くねぇんだよバカヤロー」
「うるさいぞ!じょーぎんとき!少しは静かにできんのか!」
「アレ、もしかして流行ってんの?俺の名前に文房具アタッチメントするの流行ってんの?」
「いいから早くシャーペン貸してよ」
「だぁあぁもう!だいたいなんで俺なんだよ!ヅラとか土方とか堅物真面目電波野郎かマヨラーに借りろよ!」
「ヅラ、もとい堅物真面目電波野郎ではない。桂だ!」
「ああもう、お前はいいから黙ってろって!」
「だって、」
「あん?」
「銀時と話す機会、増えるじゃん」
「え、(きゅん)」
「っていう夢を見た」
「ヘー、ヨカッタネ」
「まじお前超可愛いかった。なんなの」
「……、ってかさ」
「うん?」
「立場逆だってわかってる?」
「いつもお世話になってます。あ、オレンジ次貸して」
「赤ならあるよ」
「じゃあ赤貸して」
坂田銀時の願望