ピーンポーン
『はい』
「「「「たーかすーぎくん、あーそびましょー」」」」
『帰れ』
「いや、ちょ、とりあえず開けろって」
『帰れ』
「だから言っただろう、やはり無理に決まっていたのだ。高杉にドアを開けさせるのはベルリンの壁を崩壊させるレベルの難易度だぞ、と」
「いやあたしちょいちょい入ってるよ」
「わしもちょくちょく入っとるちや!」
「アイツ超が着くほどマリオ弱えーよな」
「何故俺の知らない所でお前らは楽しんでいるのだ。もしやアレか!俺のことをハブって楽しんでいるのか!そうなのか?そうなんだろう?そうって言えよォォオ!」
「あーうるせーうるせー」
「そんな訳やき、はよおカギ開けてくれんかのう」
『どんな訳だ。帰れ』
「晋助、バーゲンダッシュのクッキー&クリーム買ってき『入れ』
あの鉄壁を誇るベルリンの壁がたかだかバーゲンダッシュ一個で崩れ落ちましたよ小太郎さん。先程4人で行ったコンビニの袋を右手にぶら下げながらベルリンの壁、もとい晋助んちのドアが開くのを待つ。
「先にバーゲンダッシュをよこせ」
「なにコイツ」
「いーから早くいれろ!さみーんだよこっちはよ!」
「チッ、部屋のもん勝手に触んじゃねーぞ」
「なあ、エロ本探そーぜ」
「人妻ものはないか?未亡人でもかまわないが」
「そりゃあおまんの趣味じゃろーがヅラ」
「ヅラじゃない桂だ」
「話し聞いてたかテメーら、今すぐ大人しくするか出ていくかどっちかにしろ」
「あ、コタツ」
「うおーコタツ!」
「コタツだと……!?」
「アッハッハ、コタツじゃ!」
「テメーらのコタツに対するそのオーバーリアクションはなんなんだ」
「あ、それより晋助、これお土産」
「おお、サンキュ」
持っていた袋を晋助に手渡して我先にとコタツに入ろうとする銀時たちに続き私もコタツに入った。
「ガキ使見ようぜガキ使」
「今年なんだっけ」
「スパイだそうだ」
「ふーん。つーかアレもう設定とか関係ないよね」
「オイ、ガキ使を汚すような発言はよせ。あの番組は今年の笑いおさめをテーマとした文化的な…「あー、ハイハイ」
「しっかし一年てのはまっこと早いのー」
「ああ、でもこの一年色々あったよな」
「晋助のケータイのメモリの女の子の名前全部"鼻毛ブー子"にしたりね」
「アレお前らの仕業か」
「あと、高杉はホモだって噂流したりな」
「アレもお前らか。だから一時期男にすげー告られたのか」
「ホモ杉キモ杉」
「殺すぞ」
「わしは高杉の音楽の教科書一式ば隠した時がいっちゃん面白かったきに」
「めっちゃオロオロしてたよね晋助」
「高杉が本気で音楽5をキープしたいという気持ちが痛いほど伝わってきたな」
「廊下で爆笑しすぎたよねー。銀時なんか爆笑しすぎて防災装置のかどっこに頭ぶつけて救急車で運ばれてったよね」
「あー…アレは痛かったな。3針縫った」
「そんなハイリスクを侵してまで俺をおとしめるお前らの根性がわかんねえ」
「「「「だって面白いから」」」」
「……………。」
なんて、そうこうしているうちに時間はどんどん過ぎていって、対に年が明けるまで1時間をきった。コタツの上にはすでに食べ終えたアイスの残骸がドロドロになって散乱している。
「確かに、"初笑い"とかがあるなら"笑いおさめ"とかあってもおかしくねーよな」
「最後の笑顔、か……」
「なんかシュールだね」
「オイ、ジャンケンで負けたヤツがこの残骸片付けるってのはどーだ?」
「いやなんの提案だよ。なんも面白くねーよ」
「いいから片付けろ」
「そーいうのは言い出しっぺがやるもんなんですー決まってるんですーしたがって君がやるんですー」
「んだとこのやろ…っ!」
「あーもう、もめない、もめない」
「最後の喧嘩、か…」
「だからシュールだって」
「お、一分きったきに」
「「「「え」」」」
「え、え、え、どーしようどーしよう!」
「と、とと、とりあえずこんなのはどうだ?年が明けると同時にジャンプをしてだな、その瞬間は地球上にいなかったという…」
「オメーは小学生か!」
「あ、あと10秒しかない!」
晋助んちのでっかいテレビの端っこには、2010年が終わりを告げるまでのカウントが表示されていて、テレビではアイドルたちが10から0へのカウントを始めていた。辰馬はアッハッハ笑いっぱなしで、銀時と晋助は相変わらずもめていて、それを小太郎がおさめている。
『5、4、3、2、1!』
バンッ、と盛大に風船だのリボンだのが飛び出してテレビの画面いっぱいに2011の数字が表示された。
「「「「「…………………。」」」」」
「結局しちゃったね…、ジャンプ」
「ああ、まさか全員綺麗にそろうとはな…」
「まあいーじゃねーか。そーいうわけで、今年もよろしくな」
「うんっ!」
「うむ」
「しゃーねーな」
「おうっ!」
A HAPPY NEW YEAR! 攘夷4に幸あれ!