「アレンっ!」

「またあなたです……、ラビ先輩」

「よっしゃあ!騙されたな〜。徹夜して練習したかいあったさ!俺の名前そっくりボイス」

「胸くそ悪いんでやめてもらえますか」

「今日名前部活休むって!寂しいさね〜アレン?」


ドゴオッ


地響きのような衝撃音と共に、パラパラと白い壁の塗料が剥がれ落ちる。少し目線を動かせば、コンクリートの壁に減り込む後輩の拳。


「え、?」

「あははは、すみません虫がいたもので」

「どんだけでけー虫さ!危ない危ない!俺死んじゃう」


(やばいさこいつやばすぎるさ!だって小声で「ちっはずしたか」とか言ってたもの!殺す気だったもの!)


「ところでアレンちゃん、名前とはその後どうさ?」

「あ、虫が…「うそうそうそうそ!なんでもない!」

「あの、今日部活休んでも大丈夫ですか?」

「別にいいけど…なんで?」

「先輩には関係ないですよね?」

「うん!だから拳しまって!」



あの子は不在
(たまたま?いや、もしかして…)

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