(うわ、手振ってる)


わざわざ見ななくてもわかる程の熱視線に耐え兼ねて目をやれば、満面の笑みと共に白い手の平がゆらゆら揺れていた。もちろんふりかえさずそらしたが、気になってもう一度目をやれば、何を思ったのか隣の席の荻原くんを凝視していた。


(あぁあぁあぁあああ!逃げて!荻原くん逃げて!あと、この前消しゴムかしてくれてありがとう!)


「ちょっとさー名字ってよくね?」

「ああ超わかる!黙ってりゃ最高!」

「うわ言えてる!可愛い顔してあのキャラだもんな〜」

「でも俺毎日隣で見れてちょっとラッキーかも」

「荻っち名字狙いかよ〜。どうするよアレン」

「あははははははは、」

「なんでもないです。すいませんでした。」



あ、そういえば荻原くんは名前のことが気になっているんだとかなんだとか言っていたような気がする。ならあのブルドックのようなドスの効いた睨みつけも快感なのだろうか。いや快感なんて言ったら荻原くんが変態みたいになってしまうか。そんなことを考えていたら、何故だか急に下腹部がちくんと痛んだ。ああ今日もまた苛々する。


無自覚

謎の人物荻原くん。あだ名は荻っち。多分彼はキーボーイ←

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