『将来の夢』なんていうアバウトなタイトルで作文を書けなんていう無茶ぶりをされたうえに、悩みに悩んで書いた文章はまさかの再提出。しかも居残りはあのエイリアン女と一緒だなんて。
( げ、 )
作文を書き終え、家路につこうと昇降口を目指して階段を降りていくと前方には僕より早く教室を出たあいつがいた。
( よし、しかとしよう )
「あ、れんっ」
「……………、はい」
「あ、いやっ…なんでもない!」
「?…なんですか」
「呼んでみただけっ!騙されたなばーか」
「はぁ?」
こいつと喋ると本当に苛ついて仕方がない。第一、何を考えてるかが全くと言っていい程わからない。だから僕の中でこいつはエイリアンみたいな存在なのである。
「っ、好き!」
ほらまた突拍子のないことを言う。
「僕は君のこと世界一嫌いです」
そう言って昇降口を出た。名前は黙ったまま動かない。
4月1日、一年に一回だけ嘘が許される日。あんなシャレにもならない言葉、真に受けたらきっとまた馬鹿にされるに決まってる。
その言葉に嘘を乗せて、
目には目を、歯には歯を、嘘には嘘を。