「はああああああ…」
せっかくの金曜日、明日から2日間は好きなだけ寝ていられるそんな素敵な金曜日。だけども私は居残りなう。
「おい名字しっかり書けよ」
「なんで再提出なんですか〜…」
「俺の23年間の教師人生の中で将来の夢が万引きG面なんてお前が初めてだからだよ」
「わあ!あたしすごい!」
「いいから黙って書け」
「あ、れ、ん、の、お、よ、め、さ、」
「お前それ再々提供な」
「え、あたしその2つ以外夢ない!」
「……、俺はもう疲れた。ウォーカー、後は頼んだぞ」
名前とは真逆の席で作文用紙に目を落としてシャーペンを動かしていた彼が顔を上げる。
「こんな珍獣僕の手じゃ負えません」
「そういうなって、お前もコイツも俺の教師人生で異例なんだからさ」
「え、アレンなんて書いたの?」
名前がアレンの作文用紙を除きこんで何か閃いたような顔をした。心なしか目が輝いているようにも見える。
ガリガリガリガリガリガリ
「おおっ、名字が真面目にやってるじゃないか!よくやったぞウォーカー!」
「はい!先生!提出!じゃっ!」
「先生、僕も」
光の速さで出て行った彼女の作文用紙の上にアレンもそれを重ね、教室を出て行く。
「……ウォーカー…お前までか…」
君と僕のヒーロー伝説
(将来の夢:レッド)(将来の夢:ピンク)