「君が好きです。僕と、付き合ってくれませんか?」
「嬉しい。あたしも、貴方のこと…、」
なんてクサい映画のワンシーン。そうして2人は抱きしめあって唇を重ねる。てゆーかアレンがこんな純愛ものなんか見るなんて知らなかった。てっきり空飛ぶあんぱん的なのだと思ってた。
( あ、マッチョのおっさん泣いてる )
ようやく二人の想いが通じ合ったのにもかかわらず、ヒロインが病気で死んでしまうシーンだった。普通の女の子だったらここで号泣するのかな。なのにどうしてか私は泣けない。1人残された男はもう君以外愛せないと泣きわめいている。どうせ数年後には他の人と幸せになるくせに。あたしの母親みたいに。
* * *
「映画、どうでした?」
上映が終わって、久々のアレンとの再会だった。
「おっさんが泣いてた」
「………、そうですか」
「ねえ、アレン」
「なんですか?」
「愛してるよ」
「なっ!……な、な、なっ!」
「あははは、同様しすぎ!」
冗談だよ、と笑ってみせれば真っ赤な顔でアレンは怒った。
アイシテルアイシテル
(言うだけなら、簡単なのに)