「もしもしアレン?!」
プルル、と着信音が鳴ったと同時に表示された名前に思わず眉間にしわをよせた。通話ボタンを押した瞬間になだれ込んできた爆音に、思わず携帯を投げ捨ててしまいたい衝動に駆られる。
「……、アレンの携帯にかけてるんだからアレンが出るに決まってるじゃないですか…」
「あ、そうだよね。あはは」
「……切っていいですか」
「え、なんで!駄目だよ!」
「じゃあ早く用件言ってもらえますか」
「アレンなんか元気なくない?どうしたの?夏バテ?」
「…………」
「アレン?アレン?」
「………、さっさっと用事言えつってんでしょうがこの野郎」
* * *
「お邪魔しまーす」
ど う し て こ う な っ た 。
「このグラフのね、とこがわかんなくてね」
「教科書を見ろ」
「教科書見てもわかんないからアレンとこ来たんじゃーん」
「はあ…」
いきなりかかってきた電話の内容を簡単に説明すると、月曜日に数学の追試があって、どうしてもそれに一発で受かりたいから勉強を教えろというものだった。一発で受かりたいならまずはテストで赤点をとらないようにすればよかったんじゃないのか。
「ここの一番小さいとこが、最小値で。でも最大はここじゃないから…」
「はい先生!」
「……なんですか」
「ヘイホーなんちゃらってなんですか」
「もうやだ帰ってくれないかなこの人」
「アレンアレン、心の声が漏れちゃってますよ」
「隠す気もないんでいいです。帰って下さいお願いします。」
「傷つく〜」
「…だいたいなんで僕に聞くんですか。いつも一緒にいる友達その@の方が僕より頭良いでしょう」
「……クラスメートの名前くらい覚えようよ」
「……はあ…」
「ナチュラルにため息やめようか」
「だって…、帰ってくれないこの人…」
「アレンて鈍感だよね」
「…は…、?」
「勉強なんて会う口実だもん」
まじでか
不器用にもほどがある
(ちなみに追試とか嘘。あたしクラスで5番目)(やっぱなんかムカつくから帰って下さい)