豊木高校生徒会長、鬼村碧は、ある学園のパンフレットをまじまじと眺めていた。
「何?うらちゃん、転入でもするの?」
そう言いながら鬼村の手元からパンフレットを奪ったのは魔王───もとい、戌井一真であった。
「違います!ていうか、何であなたたちが当たり前のように生徒会室にいるんですか」
怒気を含めて言ったものの、一真たちには全く通じていないようであった。
「じゃあ、なんで他校のパンフレットなんか読んでるのさ?」
───僕の質問にはスルーなのか……。
そう思ったが、彼らに話が通じたことなんて今までなかったのだ。期待することから間違っている。
ペラペラとパンフレットを読みながら尋ねてきた一真に、仕方なく答えた。
「伯父が懇意にしている方が学園長をやっているそうなんです。だから、今度そこへ見学に行くことになったんですよ」
「それで予習勉強ってか。学年二位は真面目なこった」
バカにしたように言った猿山祐樹の言葉に、むっとする。黙れ学年一位、いつかはその座を奪ってやるからな、と心中で呟く。
「あれぇ……でも、このときはね学園って……」
「ときわ、だバカ」
「あぁ、そうそう、このときわ学園って……」
何かを考え込んだ様子の彼らがマスター、川崎桃は、しばらくして「あっ!」と声をあげた。
「ゆっきーとかありすちゃんがいるとこじゃん!」
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