優しい微笑み
『俺は貴方を守りたい』
貴方はそう言って、魔物に向かった。
どうして私ごときにそんな話かけたり、笑ったりするのですか?
私には分かりません。
君と出会ったのは、あの海の見える野原。
この野原は、コスモスや彼岸花が美しく咲くからお気に入りの場所。
今日もただこの花畑を見にきた。
すると、一人の少年がいた。
オレンジ色の、リュック?みたいなのを持ち、夕方の海を見ていた。
男…私は人と関わるのが苦手。
過去になにかがあった訳ではないが、コミュニケーションを取るのが苦手。
すると少年はこちらに気づき、また海を見ていた。
私はなぜか自然に少年の方に向かっていた。
―"自分と似ている"――
そんなのを感じた。
まだ見かけた少年なのに、自分と似てる気がした。
「俺この景色好きなんだ。明日死ぬかもしれない…でもこの景色を見たら、明日もまた、楽しく生きれる気がする」
少年の瞳は灰色で輝いてた。
引き込まれそう。
私はただ彼を見つめていた。
「俺、魔力が多すぎて操れないんだ…前に森を焼き払ってしまった」
「どうしてそんなヒドイ事をしたのですか?」
「悪い奴等がいて…」
その時、何かを感じた。
私の能力は"視る"。
周辺を見ることができる。
彼も何かを感じたのか、戦闘準備をしてた。
「俺に掴まって…」
すると彼は、私を抱き抱え飛んだ。
空中移動ができるなんて…
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