綺麗な金髪で美人な女の子が、黒髪の険しい顔の男の子に食って掛かっている。
すると、その中でひときわ身長の低い女の子が、二人の間に割って入った。


「由希さんも東堂さんも、言い争ってる場合じゃないですよ。あの……みなさん、お怪我はないですか?」


その女の子は、尻餅をついた桃にすっと手を差しのべる。
桃はキョトンとした顔で、その手を取った。


「あ、ありがとう……」
「気を付けろ、バカ桃」
「う、うるさい!」
「いえ、彼女を責めないで下さい。さっきのはこちらに非がありますから」
「そうだよね、アリスちゃん♪」
「!!」


すると、茶髪の男の子がその小さな女の子(彩鈴、と彼は呼んでいた)に後ろから抱きついた。
彩鈴ちゃんは驚いて目を見開くも、じろりと一瞥してその手を払った。


「時と場合をわきまえない人は嫌いです、西野さん」
「……ごめんなさい!!ごめんって!!」
「ところで、みなさん──」
「うわぁぁぁげんげん!アリスちゃんが無視するぅ!!」
「お前が悪い」
「げんげんまでぇぇぇ!」


西野くんは、東堂くんに抱きつこうとするが、東堂くんは冷たく避けた。


「あなたたちも、あちらのアイスを買うんですよね?」
「……えぇ、まぁ。だけど、買えないかなって……」


純平が答えると、彩鈴ちゃんはチラリとアイス屋のほうを見て、


「私たちもなんです。きっと、まだありますから、急いで並びましょう」


と言ったのだった。


──……?

違和感、と言えばいいのだろうか。

まるで、アイスが残ってるのを確信している言い方。
それが、その目に見えたかのように。

そもそも、なんで俺たちがアイスを買いに来たって分かったのだろうか。


何もない空間から現れたことも相まって、とても、とても不思議な四人組だと思った。


「そうだねっ!急ごう!祐樹!一真!純平!行くよ!」
「うん!あっちゃん!あたし先に並んどくね!」


桃と由希ちゃんが駆け出す。
それを追うように祐樹と西野くんが、そのあとをゆっくりと純平と東堂くんが追ったのだった。


そして、歩き出さずにいた俺と彩鈴ちゃんが残ってしまった。


 / 


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -