一真はにっこり、とお供二人に顔を向けた。「仕方ねぇな……」とぼやきながら頭を掻く祐樹と、無言で頷く純平。ここまで念を押されてしまったら、ぐうの音も出ない。
「……っ、くれぐれも!豊木高校の品格を下げるような真似はしないでくれたまえ!」
「もー、うるさいなぁうらちゃんは」
「君に言ってるんだぞ!?」
ギャーギャーと騒いでいるところで、校舎から小さな人影と大きな人影が走ってくるのが見えた。
「あっ!ありすちゃんとゆっきーだ!」
大きいほうの人影───金髪の少女は、こちらに向かってブンブンと手を振っている。
「じゃああたしたち行くね〜!」
「あっ、話はまだ……!」
桃はするりと校門を抜けて中に入ってしまう。それを追うように、お供三人は中に入っていった。先が思いやられる。しっかりあれのお守をしてもらわないと、困るのは鬼村だ。
「あぁもう!」
地団駄を踏んでも仕方がないのだが。深い深いため息をついたところで、ようやく目の前に人が立っていることに気がついた。
「豊木高校生徒会の方々ですよね。僕は生徒会役員の武関玄眞と申します」
「同じく役員の竜峰青也です。アンタら……失礼、あなたたちを迎えにきました」
ぺこりとお辞儀をされ、こちらも慌てて頭を下げる。
「とりあえず、学園長のところ行ってから生徒会室か?」
「それでいいんじゃない?会長からは何も言われてないし」
武関と竜峰と名乗った二人組は、何やら小声で相談している。小声だが丸聞こえだ。
───会長からは何も……?
少し引っかかったが、それを口に出す前に「こちらです」と先導されてしまったため、鬼村一行はおずおずと彼らについて行ったのだった。
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