「続いて!ゆっきー!」


桃がトイレに向かって呼びかけると、由希も不安げな顔をひょこりと覗かせたあと、意を決したようにこちらへ向かってきた。

男子陣は、若干ギョッとした顔を見せた。
そして、一真以外は少しばかり視線を泳がせる。


「ゆっきーはセクシー路線を目指しました!」
「……お嫁に行けない……」


涙目で呟く由希に、桃は「大丈夫大丈夫!」と楽天的に笑う。

短くてタイトなキャミソールワンピースに、ゆるい鍵編みのサマーセーターを重ねている。
そこから覗く肩や、見えそうで見えない谷間、そしてスラリと伸びた長い生足は、確かに桃が言ったようにセクシーである。

髪は綺麗で隠すのはもったいないから、と、コテで巻くだけにとどめておいた。

メイクも服装に合わせて大人っぽくしており、さっきまであったあどけない雰囲気はなくなっている。
元がいい分、美しく妖艶なお姉さん、という仕上がりだった。


「……化けますね」
「ゆっきー綺麗じゃん!黙ってれば完璧だよ!」
「ゆうくん何気に酷い!!」


優羽に掴みかかろうとする由希を、桃は慌てて制する。


「セクシーさを強調するために、胸盛ってるから!あんまり激しく動くとパット脇から出ちゃうから!気をつけて!」
「それをここで言うなぁ!!」


あ、と口を抑える桃だったが、後の祭りである。
一真は笑いを堪えきれなかった様子で肩を揺らしている。

恥ずかしさで真っ赤になりながら、由希は必死に深呼吸をした。


「じゃあ、作戦実行に移ろうか?」


その笑みは、無邪気な子供のようにも、悪魔のようにも見えた。



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