※結構暗い感じの話なので、苦手な方はご注意ください。キャラ指定は特にないです。
自分は思った以上に嫉妬深いらしい。
らしいだなんて他人事だけど、自分自身は自覚がないのだからしょうがない。
何故そう思ったかなんて、よくある話だ。自分と仲のいい奴が、ほかの奴らと仲良くしている。それを見てイライラした。それだけだ。
「いやいや、十分嫉妬深いよ」
真顔で手を振りながら言われ、どうもやるせない気分になる。
「でもどうして急に?」
どうして急に、と聞かれても微妙なんだが。
自分は向こうを大切だと思っても、向こうの大切は自分じゃないかもしれない。実際にそうだろうし。
それが目に見えるようで、無性にムカついた。現実を叩きつけられたような気分だった。舞い上がっていた自分が馬鹿みたいだった。
自分じゃなくてもいいんだろう? そう問いつめたくてしょうがなくなる。あの首をきつく絞めながら、か細い声で出るのだろう否定の言葉を、自分は求めているのかもしれない。
そんな思考が分かったのか、ゾッと顔を青くする。
「それはちょっと…どうかと思うよ…」
「分かってるよ」
ただ、不安なんだよ。
自分が居なくなっても、普通に一日は終わる。それが怖くてしょうがないんだ。
自分がどれだけ頑張っても、適わない相手が居るんだと。成長してもソイツには適わないのだと。ソイツがいれば、アイツは問題ないのだろうと。
じゃあ自分は必要ないんだろう。
そう叫んで、泣きついて、相手にすがって、相手の言葉の否定を待って、それがないのならその言葉を発せない喉を掻き切ってやろうって。
そういった黒い感情がぐるぐると自分の思考を回る。
あぁ、吐き気がする。
「相手に適わないから、その相手を消すって言うのはアレだと思うけどねえ」
「消すとは言ってない」
「そういうことじゃん」
案外間違ってはいない気はするが。
「結局どうしたいの?」
どうしたいの? と聞かれても、思いつかない。
ただ、アイツに愛されたい。というだけなのかもしれない。自分だけ、自分を一番に。そういうことなのかもしれない。
一番じゃないのなら、意味はない。自分にも。それにアイツにも。
「……もうだめだね。狂ってるよ」
そんなの今更だろ。向こうの言葉が、ストンと響いた気がした。
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