おかあさん、どこだろう。おかいもので、ひとがいっぱいで、まわりをみたら、おかあさんがいなかった。
 どうしよう。いっぱいあるいて、いっぱいおかあさんってよんだけど、いなかった。どうしよう。もう、あるくのつかれちゃったよ。さみしいよ。

「ぐすっ…」
「ねぇ、君、そこだと危ないよ」

 つかれちゃって、すこしすわってると、うえからこえがした。おれにいわれたのかもだけど、でも、いまはかおみられたくなくて、ずっとしたをむいてると、またこえがした。

「もしかして迷子?」

 ち、ちがうもん! まいごじゃないもん!!
 まいごじゃない、おれはそんなこどもっぽい、こと、しないもん…。

「まいごじゃないもんーー!!」
「えっ、ちょっ…!」

 ぢがうもんーー! まいごじゃないもんー!
 どんどんおれのこえがおおきくなって、ないちゃうと、めのまえのひとはすこしおろおろしてた。
 な、泣かないでー…。とかいって、おれのほうにてをのばしたり、しなかったり。
 めのまえのひとは、きらきらしたかみのけのいろをしてて、めのいろも、きれいなみどりで、アニメとかのおにんぎょうさんみたいだった。
 そのおにんぎょうさんじゃないひとたちが、いろいろとはなしてた。

「やだ、子供泣かせちゃってるわ…」
「大丈夫なの? あれ」
「うっ…!」

 おにんぎょうさんが、すこしかなしそうなかおをした。でも、おれはおかあさんにあえないのがさみしくて、おにんぎょうさんをいいこいいことかはできなかった。

「あ、ああ…な、泣きやんでー…! えっと、分かった…! 一緒におかあさん探そう?」

 おにんぎょうさんから、おかあさんってきこえて、おれはなみだがとまった。おにんぎょうさんが、なんかほっとしたかおしてる。たまに、おかあさんがするかおだ。
 おにんぎょうさんは、もってたかばんをがさがさして、なにかをみせてくる。

「何味が良い?」

 にこにこしながら、おにんぎょうさんはおれにきく。あめだ。おれがいうと、好きなのをあげる。といって、おれにみせてくる。
 えっとね、おれはね…。おにんぎょうさんとめがぱっちりとあった。

「めろんがいい」
「メロン? あったかなー…あ、あった」

 じゃーん。ラスイチ。運が良いぞー君。
 おにんぎょうさんはそういって、おれにあめをくれた。くちにいれるのが、ちょっともったいなくて、たべるふりをした。

「おいしい?」
「うん」
「よかったー」

 ありがとう。おにんぎょうさん。
 ありがとうっていうと、おにんぎょうさんは「お人形さん?」って、くびをよこにした。でも、すぐににこにこになって、どういたしましてって、あたまをなでてくれた。

「それじゃあ、一緒に行こうか」
「うん」

 てをぎゅってしてくれて、おれもえがおになっちゃう。

「あら、姉弟かしら」
「かわいいわねー」

 まわりのひとのこえをきいて、おにんぎょうさんはさっきみた、おかあさんがたまにするかおでわらった。
 おにんぎょうさんからもらったあめ、とけないようにしなきゃ。




*****






「なに泣いてんだ?」

 ママがいなくなって、おおきなこえでないてたら、めのまえにおおきなひとがたってた。
 それがすこしこわくて、よけいにおおきなこえで泣いちゃうと、めのまえのひとはすこしためいきをして、あたしのまえにすわってきた。

「怖がらせて悪かったよ。ほら落ち着け。男が泣くとかっこわるいぞ」
「お、おんなのこだもん…!」
「ああ、それは失礼した。レディと言った方がよかったか?」

 そう言ったひとは、あたしのてをやさしくにぎった。めのまえのひとは、おにいさんだった。くろいかみのけで、きれいなあおいめをしてるの。なんだか、えほんのなかのおうじさまみたいに、きれいなめをしてるの。でも、ちょっとこわいかおしてるんだけど、でも、なんだかさっきよりこわくないの。
 おにいさんは、あたしのせなかをやさしくぽんぽんしてくれて、どんどんなみだはでてこなくなった。

 取りあえず座るか。疲れただろ。座って待ってろ。
 おにいさんはそういって、いすをゆびさして、あたしをだっこしてすわらせてくれた。すると、おにいさんはどこかにいっちゃって、どうしたんだろうとおもってると、なにかをもってきてた。

「カルピスとオレンジジュース。どっちがいい」
「え、えっと、カルピス」
「ん」

 プシュッとおとがして、おにいさんはあたしにカルピスをくれた。つめたくて、さっきまでおおきなこえでないてたから、のどかわいてて、とてもおいしい。
 おにいさんにありがとうっていうと、おにいさんはやさしいかおでね、わらったの。

「迷子か?」
「うん…」

 おかあさんとね、おようふくをみてたらね、いなくなっちゃったの。
 ちょっとみてただけなの。でもね、ちょっとだけみてたらね、おかあさん、もういなくなってて…。

「そうか…。最後の一緒に居たのを覚えてるのはどのあたりだ?」
「んっと、えっと、あのみどりのおようふくきてるね、あのひとのあたり」

 緑の洋服来てる人…? あぁ、マネキンか。
 おにいさんはきょろきょろとまわりをみてるんだけど、でも、もうたくさんさがしたんだ…。

「もうたくさんさがしたよ?」
「そうだな…人もたくさんいるしな…」

 そうだ。お前、高いところは平気か?
 おにいさんはそうきいてきて、あたしはこくりとうなずいた。きらいじゃない。すきだもん。あたしがいうと、おにいさんは、それならおいでといって、あたしをだっこして、そのままおにいさんの肩にのせてくれた。
 おにいさんおおきいなあっておもってたけど、そんなおにいさんよりおおきい! すごい!
 すごいねぇ! っておにいさんにいうと、おにいさんはわらいながら、おちるなよっていってくれた。おちないもん。さわがないもん。

「お母さん探すんだぞ」
「うん!」




*****




「あっ」
「あら」
「あれ」
「…あ」

 あーーっ! なんて声が、迷子センターに響いた。

「いやーびっくりしたよ。アリスちゃんがいるんだもん」
「由希さん達が居てびっくりしました」
「ねー。げん君も迷子センターにくるなんて」
「まぁ、大泣きしてたからな…」

 迷子の子供たちをひきつれ、親を探しながら迷子センターに向かえば、いつもの4人が集合した。それぞれが子供を引き連れており、どういう偶然かと思っていれば、その子供4人もそれぞれが友人だったらしい。
 それぞれの親がやってきて、お礼を言いながら、子供たちもそれぞれお礼を言いながら、親と一緒に帰って行った。

「げん君が肩車してて何事かと思った」
「いや、げんげん小さい弟居るから、案外してるよ」
「マジか」

 それぞれが本日は休日であり、どこかへ行こうとすると自然とここになる。周りが田舎なため、遊べる場所がここしかないと言った方が正しいか。
 優羽は新作のゲームを見に。彩鈴は本屋に。由希は洋服を見に。源輝は買い出しに。
 それぞれが出かけた際に、子供が迷子になっていて、それぞれが助けた感じだった。

「げん君が肩車してた子。あの子げん君が初恋になったんじゃない?」

 最後別れるとき顔赤くして手を振ってたよー。なんて由希がにやにやしながら言えば、源輝はあきれ顔になりながらそんな馬鹿なと呟く。

「だったら北村。お前もあのガキ、お前に惚れてたと思うぞ」
「やだ! ゆっきー初恋キラー!」
「そういう西野さんも、そうだと思いますけど」
「いや、アリスちゃんもだけどね!? 俺ライバル増えちゃってたんだよ!?」


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