白紙のプリント

 合宿も無事何とか終了し、ゴールデン週間も終わり、学校が再び始まりました。
 休みが明けてからのSBでは、あたしの能力を見て火燐先輩がめっちゃ褒めてくれて、それに他の先輩方も、よくやったと褒めてくれて、あたしはとても嬉しかった。
 それにもう少しで体育祭! ということで、ゆう君やげん君には頑張ってもらいたいなー。私は初めての体育祭だし。あ、この学校で、ってことね。

 そんなまだ休み明けという、まだぽえぽえとした気分の中、一気に現実を叩き付けられた言葉。
 連休を終えて、一週間過ぎたころ。英語教師の杉山先生が口を開いた



「えーっと、明後日から中間テストだけど、未だに何も勉強してない奴手を上げてみろ」

 あたしを含めたクラスの9割が手を上げた。

「もうお前ら学校やめちまえよ」

 先生は効果音で言うと、ぷりぷりという感じで怒りながら、縦の列の先頭にプリントを配っていく。どうやらこれが最終課題だそうです。あれ、今まで配られてたっけ。思わず鞄の中をあさった。

「この最終課題だけは絶対やってこいよ!」
「でも! 先生の最終課題は、育も」
「全然うまくねーんだよ! 何だよその顔腹立つな!」

 ゆう君が良い笑顔で、挙手して立ち上がりながらそう叫んだ。確かに杉山先生の頭はいい具合につるつるである。

「お前ら、高校の1年前期の中間ほどチャンスはねえんだぞ。どんどん得点稼ぐのって難しくなるんだぞ…」
「先生の体験談ですか?」
「うるさいぞ西野!」

 ゆう君もう黙ろうよ…。
 そう思うと同時に、今日最後のチャイムが鳴った。最後に杉山先生が釘を刺し、教室を出ていった。





「ゆっきー、今日一緒に勉強会しない?」

 今日は掃除当番だったため、あたしが教室をモップ掛けしていれば、ゆう君からこの様なことを言われた。
 あたしはゆう君の方を見ながら、暫くしてから口を開く。

「いやだ…」
「なんで!?」
「なんかゆう君とやると捗らなさそう」
「偏見よくない!」

 あたしがそう言えば、ゆう君はぷんぷんと怒りながら言う。だって本当の事じゃん…。今日の英語の授業からすると、まさにそうだよ…。
 あたしがモップを壁にかけて、机を移動させる。うわ、この机重い。置き勉しすぎ…ってテスト前なのに、大丈夫なのかこの人。

 皆で掃除を終えると、ゆう君がもう一度やって来る。

「ねーやろうよー。十知君とかげんげんとかアリスちゃんも居るからー」
「えぇ…皆を巻き込んだの…」
「いや、げんげんがやるぞって」

 ゆう君の頭の問題だったみたいだ。
 あたしは小さく息を吐いて、首を縦に振った。

「いいよ、やろう。あたしも危ないだろうし」
「ありがとー! 良かったー、これで俺だけがしごかれることはないかなー」
「失礼だな!!」

 いや事実だろうけどさ!! 悲しいことに!
 ゆう君は軽く鼻歌を歌いながら、机をくっつけ始める。あたしも手伝い、皆が来るのを待つ。

「1日目のテストってなんだっけ」
「え、あたしも知らない」
「もう俺ら駄目だね…」
「そうだね…」



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