体育祭 後
なぜが言い合っている朱理さんと千束先輩。いや、一方的に朱理さんが弄られてるだけだろうが。
なぜお二人が騒いでいるのかといえば、それはこれから行われる競技が、部活対抗リレーだからである。
部活対抗リレーは、運動部男子、運動部女子、文化部の3つに分かれて行われる。
そしてこの対抗リレーは、部費がかかっている。部活に力を入れているからこそ、白熱するこの競技。もちろん順位が1位が部費を頂けるが、パフォーマンス賞というものもある。
文化部はこういうのを狙う部活が多い。これも部費を狙えるからだ。
その反面、パフォーマンスが難しい部活は、本気で走るのだけど。
あたしとあっちゃんは部活に入ってないから、こうやって観戦しているんですけど。
「どうかなあ…」
「陸上部は10秒ハンデを付けるってルールですからね」
チラリと運動部を見れば、それぞれユニフォームを着ている。球技系の部活は、それぞれ使用する道具も手に持ってる。
時羽学園は部活の数が多いから、すごい大人数だ…。
バスケ部であるゆう君、げん君、豪波先輩はユニで、トップバッターなのだろう、げん君がボールを抱えている。ドリブルしながら走るのだろうか。
剣道部である竜峰君は道着姿で竹刀を持ってる。もしかして、またこの二人は一緒なのか…。武関君は弓道部だから、こちらは袴姿。凛々しくて様になっております。早緑先輩は柔道部だから、こちらも道着。
そして本命なのであろう陸上部は、いつものメンバーがユニフォームになっている。焔真先輩に彩兎先輩、水憐先輩と火燐先輩。準備運動も念入りだ…。
てか袴とか道着の人たち、洗濯大変だろうな…。
「運動部は圧巻だね…」
「そうですね…。やっぱり自分の実力を見せる、というのもありますし…」
ちらりと、あっちゃんがとある方向を見る。そこには黄蘭先輩と紫恩先輩。二人は違う軍だけど、並んで座っていた。
黄蘭先輩は腕と脚を組んで見ている。
「実力を見せれば、会長さんが部費を考慮してくれるかもしれませんから…」
「成程…」
そりゃ本気になるわけだ。
あ、紫恩先輩メモ帳とシャーペンを手にとってる。メモる気満々!!
どれと同時に本気なのが文化部。
文化部は、いってしまえばアレなんだけど…。それぞれの実力が、表に見られる形で発揮される機会は少ない。
それが発揮されるのは、文化祭かこのような機会しかないのだ。
だからこそ、文化部はパフォーマンス賞を狙う。
しかし、朱理さんと千束先輩のいる吹奏楽部は、部活Tシャツにバトンはリコーダー…。何ともパフォーマンス賞は無理そうです。
いや、まあしょうがないか。だって吹奏楽でパフォーマンスって無理じゃない? 楽器吹いて走ったら、絶対歯が折れそう。
けれど、他の部員さんがそれぞれ楽器を持ってる。演奏したりするんだろうか。
暫くすると、運動部男子の対抗リレーが始まる。
それと同時に野球部の応援も始まった。野球部の声半端ない。
合図と共に、各部の男子が走り出す。因みに、さっきも言ったが、陸上部はハンデとして10秒遅れてスタートだ。
始まると同時に、それぞれが色々なパフォーマンスをしながら走っていく。サッカー部はドリブルしながら、ダンス部は最初にバク転をしてから…など、見ててとても面白い。
まあ最初に走っているげん君と竜峰君は、独走というレベルだったんだけど。
突っ走ってる。
速ぇ、あの2人速ぇぇ! 片方ドリブルだよね! ボールドリブルしてるよね!?
あいた口がふさがらない。なんなんだの二人…。
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