この手を取って

「落ち着きましたか?」
「な、何とか…」

 ズズッとオレンジジュースをストローを通して飲めば、彼女はニコリと笑みを見せた。
 先程までのあたしは、混乱しすぎていて自分でも恥ずかしくなるくらいだった。けれどしょうがないと思う。認めてほしい。そんなあたしの腕を引いて彼女が入ったのは、近くの商店街にあった小さな喫茶店。どうやら軽食も有るらしいここで、彼女はあたしの分の飲み物とパスタ、彼女も同じくパスタと、紅茶を頼んだ。
 あたしがお金を持ってないと言えば、彼女が奢ると言ってきた。マジで男前。かっこいい。
 そんな彼女に問われ、先に出てきたオレンジジュースを飲みながら答えたのだ。

「それなら良かったです」

 彼女は静かに瞼を閉じて、薄く笑みを見せる。そして紅茶にゆっくりと角砂糖を溶かし始め、溶かしたところで口に運ぶ。おぉ、動作が素晴らしい…。何かストローでオレンジジュースを飲んでいるあたしが酷く子供に見えてしまう気がする。いや、気のせいじゃないかもしれない。
 あたしがそんな気持ちで居れば、彼女はカップを受け皿に置き、あたしの目を見ながら口を開いた。

「では、何からお話しすれば宜しいですか?」

 全て答える、彼女はそう言ってくれたが、改めて聞かれる体制になられると、まず何から聞けばいいのか分からなくなる。
 そうだなぁ、もう何もかもが疑問だらけなんだけど…。
 うんうんと唸っていても、彼女は自分から口を開こうとはしない。
 やっぱりあたしから聞かないと話してくれないかな。
 あっちゃんの目を見て、今度はあたしが口を開く。



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