幸福フレーム

「そういえば、お前らは授業のコースは決めたか?」

 輝先輩がお盆にお茶をのせながらこちらに歩いてきて、それぞれにお茶を配りながら、輝先輩が問う。ん、と渡されたお茶を受け取り、礼を述べる。
 あたしが頭にハテナを浮かべると、そういえば、この間白奈先生が「もう少しで聞くから決めておいてね」と言っていたきがする。

「どういうことなんですか?」

 あたしがそう問えば、あっちゃんが口を開く。

「授業のコースというのは、GWが終わった後から始まる、コース別の授業です」
「へー…そんなのがあるんだ」
「あぁ。因みに、2、3年生は1年から決まってるから、もう始まってるな」
「どういうのがあるんですか?」

 輝先輩が言えった言葉に問うと、ガラリと扉の開く音がする。そちらを見れば、髪がぬれて、頭にタオルを乗せている彩兎先輩がいた。
 お、お風呂に入ってたのかな。

「何々。何の話?」
「あー、授業のコース選択の話」
「あーそれね」

 そう言ってガシガシとタオルで髪を拭く。そして拭くのを止め、タオルを離す。そしてドライアーと呟いてから、置いてあるのであろう棚の方へ向かった。

「そうだよねー。そろそろ決める時期だねー」

 ブオーッとドライアーの風を浴び、髪を靡かせながら言う。ドライアーの音が少し大きくて、少し聞こえづらいけども…。
 あたしが詳しく聞こうと口を開けば、それと同時に台所の方から声が聞こえた。

「ご飯出来たよー。そっち持っていくね」
「火燐ちゃん手伝おうか」
「あ、お願い」

 彩兎先輩が台所の方に向かい、3人でご飯を持ってくる。どうやらカレーだったらしい。カレーのいい匂いがする。それと一緒にサラダと、目玉焼きもセットでテーブルに置かれる。

「もう少しで焔真帰ってくると思うけど…」
「えー。焔真なんて放っておこうよ」
「また彩兎はそういってもうー」

 なんて話していたら、玄関の方で小さくただいまと声が聞こえた。その声に反応し、火燐先輩が玄関の方へ向かう。

「おかえりー。取りあえず準備されてたカレーは出来てるよ」
「あぁ、悪かったな」
「いえいえ」
「焔真もっと心こめてお礼言えばー?」
「お前何もしてないだろ!」
「輝君、シーッ」
「彩兎…お前は…!」

 ギャアギャアと騒いでいる先輩たちを見て、また4人で顔を見合わせる。そしてまた笑みがこぼれた。
 豪波先輩が言っていた意味、分かった気がする。
 確かに家族だよねえ。あれは。

 皆にご飯が渡り、皆で手を合わせていただきますを言ったあと、皆で食べ始める。辛さも丁度よくて、とても美味しい。

「とても美味しいです!」
「おおよかったー。良かったね焔真!」
「え?」

 私たち4人が一斉に焔真先輩の方を向く。先輩はスルーしながらカレーを口に運んでいた。

「基本料理は焔真がやってるんだよー」
「そうなんですか」

 意外な一面発見…。

「皆部活とかやってるから、基本家事は当番制なんだけど、料理はやっぱり焔真に任せちゃうんだよね」

 あはは、と笑いながら火燐先輩が言う。そんな火燐先輩を見て、軽く笑みを浮かべる焔真先輩。

「でも桜嵐は部活やってないから、基本部活の助っ人とかバイトしてるんだ」
「こんな大人数っスからねー。色々と出費が」
「基本的には資金あるんだけどね」

 彩兎先輩も笑いながら言う。そっか…先輩たちも色々大変なんだなあ…。そう考えると、あたしってかなりの暇人…!? いや、家の手伝いしてるし! セーフセーフ!
 12人も居るのに全然余裕のある居間で、あたし達は夕飯を食べ終えた。


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