コンビネーション

「焔真みっけ!」
「あ、」

 暫く歩いて、もう少しで体育館というところで、焔真先輩は火燐先輩に捕まった。
 なぜこんなすぐに捕まったのかといえば、先輩が普通に隠れずに人と話していたからである。

「なんだお前、かくれんぼでもしてたのか」
「あぁ、まあな…」

 火燐先輩に後ろからタックルされ(抱き付かれ)、先輩の前に回っていた腕をほどきながら答えた。
 焔真先輩の目の前にいる人も、襟を見れば赤いラインだし、言葉遣い的にも3年生なのだろう。

「早緑先輩こんにちはー」
「おう。お前ら本当元気だな」

 彼は早緑先輩というらしい。
 ……あぁ、思い出した。聞いたことあると思ったら、先日のSBで先輩の口から出ていた、放送委員の委員長さんだ。
 見た感じ、結構頼りになりそうな先輩だなあ…。

「早緑君は何してるの? 部活サボり?」
「ははは、ンな訳ねえだろ。裂くぞ」

 左手の親指を地面に向けた。結構物騒だ…。

「そうだ、火燐。この後早緑と話し合いがあるんだ。だから今日の当番変えてくれないか?」
「おー、了解。じゃあ今日はとりあえず音雲と一緒にやってみるね」
「すまない。頼んだ」
「いえいえー」

 そういって、焔真先輩とその場で分かれる。
 それよりも、さっきの会話、どういうことなんだろう。
 思わず火燐先輩に聞いてみた。

「火燐先輩。さっきのどういうことなんですか?」
「ん? えっとね…うーん…。話すとごちゃごちゃするから、いっそのこと見てもらった方が分かりやすいかなぁ…」
「え?」
「ねえ、今日私の家来ない?」
「えぇ!?」

 思わずビックリして叫んでしまった。だ、だって高校になって初めて訪れる家が、まさかの先輩の家…! 驚くのも無理はないと思う。

「それで、良かったら1年生皆で来てほしいな、なんて…」

 少し照れながら火燐先輩がそういえば、あっちゃんとゆう君は笑顔で了承した。

「げんげんどうする? 今日当番は…」
「妹だから、問題ない。俺も大丈夫です」

 げ、げん君の家当番制なんだ…! そういえば兄弟いっぱい居るんだっけ。

「よし、じゃあかくれんぼが終わったら皆でうちらの家に来てね」
「はい! ………ん?」

 うち、ら?
 どういうことですか、と言おうとした瞬間、火燐先輩はあっちゃんの隣に行き、再び探し出す。うーん…。まあ行けば分かるか…。

「次どこに行きます?」
「そうだね、そこの体育館! 水憐と音雲は体育委員だからきっと有利だと思って、そこに隠れてるはず」

 ということで、体育館に向かったのだけど…。やはり体育館には人の姿は見当たらない。しかし、逆に言えば、体育館は隠れる場所が限られている。
 体育館倉庫だ。

「ちょっと開けてみようか…」

 そう言って火燐先輩が扉を開けようとすれば、ガチャッと鍵がかかっている。

「ビンゴ!」

 にっと笑みを見せ、再び扉の取手に手をかける。

「せんぱ…」
「どりゃあ!」

 バキッ! という音とともに、扉が開いた。

「せんぱぁぁぁぁい! 何学校の備品恐してるんですかぁぁぁぁ!!」
「火燐お前! これが草眞先生に見つかったらどうすんだよ!!」
「大丈夫ばれない」
「これがこうやって壊せんのはお前だけなんだよ!!」

 ぎゃあぎゃあと騒いでいると、スッとあたしたちの脇から何かがすばやい動きで通り過ぎた。
 皆で動いたものを目で追えば、音雲先輩の腕を引っ張っている水憐先輩が走っていた。

「か、かかか火燐先輩! 音雲先輩と水憐先輩逃げましたよ!」
「え、嘘!! ま、待てぇぇぇぇ!!!」

 火燐先輩が急いで追いかけ、それを追いかけるようにあたしたちも走る。
 前に走る二人は、少し汗をかいているけど、音雲先輩は笑みを浮かべているし、何だかんだと水憐先輩も笑っている。
 周りの皆も笑っていて、こうやって遊ぶのも、楽しいなとおもいました、まる




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