コンビネーション

 暫く皆と歩いていれば、生徒会室に着いた。
 普段ってここは入れないから、なんか不思議な感じ…。

「ここも探してみる?」
「そうですね」

 火燐先輩とあっちゃんがそう言えば、二人はノックしてから入った。
 あたしと輝先輩、彩兎先輩は外で待機。因みにあたしと輝先輩はドアから覗いていた。

「あれ、君たちどうしたのー?」
「あ、会長だ…」

 会長はテーブルとソファーの間に立っていた。片手に紙カップを持ちながら。いつも咥えている飴は流石になかった。

「あの、ここに誰か入ってきたりはしませんでしたか?」
「んー? いや? 居ないよー」

 会長のその言葉を聞き、あっちゃんと火燐先輩はお礼を言って廊下のほうに向かってくる。
 すると、あっちゃんは顎に指をあてて考えるそぶりを見せた。

「どうしたの?」
「いえ、失礼ながら会長さんの思考を読ませて頂いたのですが、どうも読み取れなくて…」
「読み取れない?」

 そんなことってあるんだ。何にも考えてないってことなのかな。いや、でもさっき過去のことを思い出そうとしていた、ということは少しは頭で考えたはず。なのに思考が読み取れないというのは、どうも可笑しい。

「彩兎先輩、会長さんの能力って分かりますか?」

 先日の件から、少々話しかけづらく気まずい雰囲気であったが、ここで話しかければマシになるかもしれない。そう思って声をかけてみた。
 すると、彩兎先輩は対して気にしてない雰囲気で、あたしの質問に答えた。

「ん? 黄蘭君の? 分かるよ」
「どんな感じなんですか…!?」
「……僕と似てる感じ」
「え?」
「彼の能力は奪う。相手の能力を完璧に自分のものにしてしまう」

 成程。彩兎先輩は模倣。これは相手の力を自分でも使うことができるようになる。それに似て会長さんは、相手のものを自分のものにしてしまう。確かに似てる。

「でね、聞いた話だと、本当か分からないんだけどね…」

 彩兎先輩はそういって少し険しい表情をして、声のトーンを一つ下げた。それに思わず唾を飲み込む。

「能力を奪うと、相手はその能力が使えなくなっちゃうんだって」
「えぇ!? 本当なんですか!?」

 あたしが驚きによって、これでもか! というくらい目を開くと、本日何度目。先輩が噴き出した。

「ごめっ…! まさか本当にするとは思わなかった…!」
「あ、彩兎先輩ー!」

 あたしが軽く顔を赤くして怒れば、それと同時に生徒会室の扉が、バァン! と勢いよく開かれた。
 皆して驚きで一瞬体が固まり、そちらを向けば、

「探し方あめーんだよクソ!」
「げ、げん君!?」

 声のした方を向けば、滅茶苦茶不機嫌そうな険しい表情で居るげん君が居た。恰好からすると、脚で開けたように見えるのだけれど…。えぇ…怒られないのあれ…。

「ど、どうしたのげんげんー。さ、寂しかったとかー?」
「違ぇよ」

 ゆう君が冗談気味に聞いてみたけど、げん君がドスの利いた声で、しかも上から睨んできたので、ゆう君は軽く涙目になりながら小さく謝っていた。
 そのあと、火燐先輩がげん君をタッチし少しギクシャクしてたけど、かくれんぼを再開した。

「な、何があったの…?」

 移動してる時に、げん君の隣に行き、こそっと聞いてみた。

「……あの野郎、俺をガキ扱いしやがって…。アイツぶっ飛ばす」

 そう言ったげん君の背中を見れば、軽く靴の跡がついていた。

 …………うん! 考えるのやめよう!

 軽くげん君の背中を掃いながら、残りの焔真先輩、水憐先輩、音雲先輩を探すのを再開した。


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