どの方法なら勝てるか

 そして、開始のチャイムが鳴った。

「よし、今日は先週とは違うぞ。気合入れてけ」

 草眞先生にそう言われ、皆で返事をする。
 何が違うのかあたしには分からないけれど、気合入れなきゃ。先週あたしは何もできなかったし、頑張らなきゃ。

 そう気合を込めて、先輩たちと一緒に廊下に出る。

 すると、廊下に出た瞬間、あたしの体が横に吹っ飛んだ。

「え?」
「由希ちゃん!?」
「由希さん!」

 あたしは吹っ飛ばされたあと、転がるように廊下を滑り、暫くして止まってから、思わず咳き込んだ。
 何が起きたんだろう。全く分からない。
 未だに咳き込みながら上半身を起こせば、目に入ったのはあっちゃんでも、先輩たちでもなく、武関君。向こうは立っているせいか威圧感が半端無い。普段はあたしの方が身長高いのに。
 そして、彼はニッと笑みを見せた。

「これで、生活委員のポイントは1つ減りましたね」
「は、」

 急のことに目を開けば、私が首にかけていた得点の映るパネル(小さいスマフォ見ないな感じだ)を、ずいっとあたしの目の前に見せつける。さっき吹っ飛ばされた時に、取れてしまったのか。
 そこには、4pointと言う文字が映されている。

「あ…!」
「生活委員は強い委員会ですよ、ですが、穴がある」

 それが貴方だ。
 そう言われ、武関君の左手に大量の水が渦巻く。そしてそれは氷に変わる。あたしが口をパクパクとしていれば、耳の真横でザクっと何かが刺さった音がする。その音を聞いて、あたしは目を見開いて硬直した。
 顔の真横、武関君が逆手に握った氷柱が刺さっている。

「さて、これで残り3point」

 酷薄に笑った武関君は氷柱を引き抜き、再びあたしの頬の真横に突き立てる。

「ほら、どんどんポイントが減っていきますよ」

 再び、今度は耳元に。
 氷柱が突き刺さる音が響いたのか、あたしの体が一際大きく跳ねる。

「ね、そうでしょ」

 もう一度氷柱を引き抜いて、武関君が暗く微笑んだ。
 氷が電気の光に煌めいて、あたしの顔から血の気が引く。
 その切っ先が自分を直接刺し貫くのではないかという本能的な恐怖が、あたしの身を竦ませた。



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