いまのってセーフ?

 ピーッと増田先生が笛を吹けば、相手からスタート。因みに対戦相手は3組。さっきジャンケンで向こうが勝っていたので、向こうからのスタートだ。向こうの一人の男子が、ボールを持って走ってくる。

「どりゃあっ!」
「わっ!」

 勢いよく投げたボールは、あたしの横を通っていく。何とか避ければ、後ろで誰かがうまくキャッチしていた。

「よっし!」
「いいぞ西野!」
「おうよ! よっしゃ、行くよ!」
「大丈夫なのー?」
「何とかなるって! 俺を信じなさいっ!」
 
 西野君はそう言うと、こちらも勢いよく走り込み、相手に投げつけた。ボールはさっき投げてきた男子にヒットし、ボールが地面についたため、相手はアウト。相手は残念そうに、外野に出た。
 西野君はガッツポーズをしていたけど、ボールが相手の陣地にあるから、すぐに気を引き締めていた。
 ボールが相手の手に渡れば、すぐに皆がバラバラに避けていく。そして、相手が狙い定めた相手は、あっちゃんだ。パッと見か弱い感じの彼女は、簡単に標的にされていた。
 勢い良く相手がボールを投げれば、それは簡単に避けられていた。そのままボールは外野にいき、また相手が狙うが、それも難なくかわす。

「おぉ、すごい…!」

 大して焦っていない様子で、いつも通り冷静沈着な表情のままだった。

「よし、負けてられないね…!」

 相手が投げてきたボールは、調度あたしの目の前に飛んできたので、あたしは何とかボールをキャッチする。よし、と小さくガッツポーズ。そのまま相手の方に投げた。

「おっと、」

 相手は男子だった為か、難なくキャッチされてしまう。あー、惜しかった!
 そう思っていると、向こうの男子は、別のコートの方に向かって、大きく腕を振って、声を上げた。

「奏架ー! 俺やるから見ててー!」

 皆でその方向に視線を移せば、頗る期限の悪そうな表情の女性がいた。因みに外野だった。彼女は親指を下に向けた。

「黙りなさいよ」
「酷いっ!」
「そうだー! 急に話しかけてくんなよ狐紀!」

 何だこの茶番。

「向こうもまた熱いお二人だね」
「急に隣にこないでよ」

 西野君が少しため息混じりに言う。あたしの方がため息吐きたい。

「でも俺の方が大好きだって自信はあるよアリスちゃん!」
「あっちゃんをハグするな!」
「いや、授業中にやってんじゃねぇよ」

 頗る嫌そうな表情パート2のあっちゃんに、西野君はハグをする。それを見て、げん君は西野君を蹴っ飛ばした。それに抗議する西野君。そしたら、そのすきに相手が投げたボールがげん君とダブルでヒットし、アウトになった。

 早く、体育終わってくれないかな。切実にそう思った。




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