答えはひとつですか

――ピンポンパンポン

 またもや拍子抜けするような放送がなった。

『はいはーい。それぞれ準備も終わったかなー? では、この放送が終わり次第始めるよー』

 ぎゃああぁぁ! あたし何すれば良いのか分からないぃぃ!
 あたしがガタガタ震え始めれば、火燐先輩が口を開いた。

「じゃあ、今日は一年生二人の実力試し、ということで、二手に分かれてやろう」

 取り敢えず、と言って火燐先輩は先輩たちを見る。

「よし、じゃあ彩鈴ちゃんは輝、焔真と一緒に行動してね。んで由希ちゃんは私と彩兎」

 あーゆーおーけー? 軽く発音が悪いな、と失礼なことを思いつつ、首を縦に振る。
 あっちゃんと離れちゃうのか。それは少し心細いけど、頑張らなきゃ…。

『では、スタート!』

 ぶつんと放送が切られると同時に、輝先輩、焔真先輩、それにあっちゃんが続いて教室から飛び出した。
 え、えぇ! 行動早いよ!
 ワタワタとしていれば、火燐先輩が肩に手を置いた。

「大丈夫、何か有ったら守ってあげるから」
「あ、はい…」

 そして火燐先輩に背中を押され、教室から出る。
 先生をチラリと見たけど、口パクで頑張れと言ってきた。うぅ、人ごとだと思って…!
 そして前を向けば…。

ドゴォンッ!

 そんな音がして、よく考えればこの音がする前に、目の前を何かが横切ったなとか、色々思ったことはある。けれどその音の原因を確かめたくない自分がいた。
 いや、けどここで確かめないわけには…。

 ちらっと何かがぶつかった音のした右側を見れば、壁にめり込む男子生徒がいた。

「ぎゃー!」
「由希ちゃん! 落ち着いて!」

 何か壁とめり込んでいる男子生徒のポーズが一緒なんだけど。てか壁にめり込んでるってどういう事なの!?
 ばっと反対方向を見れば、さっき出ていった先輩二人とあっちゃんがいた。そしてその三人は別の委員会と戦っているようで、すごい迫力だ。
 よく見てみれば、輝先輩の周りには電気が走っているように見える。そして一人の生徒が輝先輩に向かっていくと、先輩が人差し指を上に振り上げた。そして、直ぐに勢い良く下げる。その瞬間

ドォン

 と効果音がして、向かっていった生徒はその場に目を回して倒れた。
 雷だ。雷が落ちたのだ。
 相手に雷が落ちて…って雷!? えっ、相手は死…!

「火燐先輩! あの人、し、し、死ん…!?」
「大丈夫、死んでないよ。それがないように、この機械はそれを守ってくれる」

 先輩はそう言うと、先輩の首にぶら下げていた、さっき先生からくれたセンサーを見せる。そうなんだ、これそう言う役割もあるんだ。

「これで、まだまだ能力を使うのが苦手な人でも、大丈夫ってわけ。まぁ骨折くらいはあり得るから、気をつけてね」
「骨折!?」

 いい笑顔で先輩は言うけど、全然笑い事じゃないですよ!?
 あたしが間抜け面をしていれば、彩兎先輩が焔真先輩を指差した。

「ほら、あれが焔真の能力」

 そう言われてみると、焔真先輩に向かって相手が向かってきた。相手の能力はよくわかんないけど、何かロウソクを持ってる。何か格好からして呪いをかけてそう。怖い。
 まぁそんな相手を見て、焔真先輩は落ち着いて行動していて、パチンと指を鳴らした。すると、相手の手にあったロウソクの火は物凄い大きさの炎になり、相手はロウソクを手放した。それを焔真先輩は拾い上げ、まるで掬うように炎を持った。

「えっえ!? 先輩危なくないですか!?」
「大丈夫、焔真は炎を操ることができて、大きさとか自分や仲間に害が出ないようにとか、色々出来るの」
「へ、へー…」

 すごいなぁ、と感動していれば、あっちゃんが目に入る。
 あっちゃんの能力は目にしているからわかるけど、大丈夫なのかな…。あまり戦闘向きではないかと思うんだけど…。
 そう思っていたら、相手があっちゃんに向かってくる。そして棒で殴ろうとすれば、あっちゃんはそれを直ぐにかわした。偶然ではない。その証拠に、次々とかわしている。そして相手をかわしたところで、相手の足に自分の足をっ引っ掛け、転ばせた。

「すごい」

 皆すごい。そう思っていれば、火燐先輩に腕を引かれる。

「じゃ、私たちも行こうか」
「え、えぇ!?」



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