分からないことだらけ
『それじゃ、皆は各委員会ごとに集まってねー』
会長さんがそう言えば、皆でばらけていく。そう言えば、あたしは自分を見ていない! 慌てて探せば、あまり多くの人数が書かれていないのもあって、案外すぐに見つかった。
あたしは…。
「生活委員ですよ」
「きゃあ! ってあっちゃんか…。ビックリした…。あっちゃんは?」
「生活委員です」
「本当に!? わー! 凄い嬉しい!」
委員会も同じだなんて、何て至福…!
あたしがへらへらと笑みを浮かべれば、彼女に手を引かれ、一緒に生活委員の所へ向かう。
所で、西野君とげん君は何になったんだろう。
「お二人は体育委員でしたよ」
「そうなの? ありがとう」
お礼を述べれば、彼女はいえ、と言って応える。
生活委員ってどんな事をするのかな、なんて思いながら歩いていけば、誰かが手を振っている。
「ねえ! 二人は生活委員でしょ? こっちこっち!」
髪を一つに縛っている女の先輩が、大きく手を振ってあたし達を手招きしていた。
何で分かったのか何て、言うまで愚問である。周りに皆委員会の所へ向かっていたのに、あたし達だけはぐれていたからだ。
慌てて二人でそちらに向かえば、先輩達が待っていた。
「いらっしゃい! あたしは生活委員長の飛騨火燐。宜しくね」
彼女はそう言って、あたしとあっちゃんの手を握り、握手をする。
先輩は挨拶をすれば、周りの先輩達にも挨拶するように言ってくる。
「俺は副委員長の空木焔真だ。宜しく」
「火燐と同い年の日暮輝。宜しくな!」
「僕は森乃内彩兎。宜しくね?」
先輩達の挨拶を終え、次にあたし達の番だ。
「えっと、北村由希です。宜しくお願いします!」
「南彩鈴です。宜しくお願いします」
二人でぺこりと頭を下げれば、先輩達から温かい拍手を頂いた。
それにしても、いくつか疑問が有るんだけど…。
「あの、他の人は居ないんですか…?」
あたしがそう問えば、先輩達皆がポカンとした表情をする。え、何か変なこと聞いた?
「あれ、由希ちゃんは初参戦?」
「は、初参戦?」
ハテナがいっぱい浮かぶ。何々!? よく分からない!
あたしが混乱していたら、会長さんの声が響いた。
『新人も居るから! 察してあげてねー!』
何というタイミング。そう思っていれば、火燐先輩はあたしと会長さんの方を交互に見てから、ポンと手を叩いた。
「そっか! 由希ちゃんが新人さんなんだ!」
「あ、あぁ…そう、です…?」
曖昧に答えれば、先輩達皆が納得してくれたようだ。
そして彩兎先輩が口を開く。
「委員会で主に行動するのはこの六人。んで他の人達は後から入るんだ」
「後から…?」
「そ、こうやって毎年生徒会長が発表した翌日に、残りの面子を決める。まぁその子達は名ばかりって感じだけどね」
「他の人達はただの人数あわせって感じだな」
彩兎先輩と焔真先輩の説明で、大体は理解した。成る程。じゃあこのメンバーだけでも覚えておけば、ひとまず安心と。よし。
「なっとくしてくれたかな?」
「は、はい! たぶん!」
あたしが大声で返事すれば、先輩達が笑う。良かった、先輩達皆良い人そうだ…。
「じゃあ、一年二人はどういう能力使えんだ?」
「え?」
能力…? 何で輝先輩が聞いてくるんだろう。確かあっちゃんから聞いた内容では、この学校は異能者が通っているの聞いたが、何で輝先輩はあたしが能力を使えると分かったんだろう…。
疑問に思っていれば、あっちゃんが腕を引っ張ってきて、口を開く。
「由希さん。正直に言いますと、この体育館にいる人々、全員異能者です」
「え…? えぇ!?」
あたしが混乱していれば、先輩達は首を傾げる。何か変なことでもある? と言いたげだ。
あたしが混乱していれば、あっちゃんは口を開いた。
「私は視る、です。相手の思考や辺りを見渡すことが出来ます」
「へー! こりゃまた役立ちそうだね」
火燐先輩も、あまり能力を気にしていなかった。他の先輩もそうで、あっちゃんは少し安堵しているように見える。
「由希ちゃんは?」
「えっあっ、えっと…まだ詳しくは理解してなくて…」
呆れられたかな、何て思いながら少し伏せてた顔を上げれば、火燐先輩は笑みを浮かべていた。
「大丈夫! 直ぐに分かるようになるよ! 今の所何もわからない感じ?」
「えっと、何か光みたいなのを使ってたような…」
「成る程ね。じゃあ実際にやってみれば分かるか」
……………ん? 実際にやってみれば分かるか?
どういう事かと疑問に思っていれば、再び会長さんの声が響いた。
『挨拶も大体終わったかなー? じゃあ、これから確認も含めて、SB始めるよ!』
会長さんの声に、周りがイエーイ! とか叫びだした。
え、え、えぇ!?
SBって、何それ!?
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