分からないことだらけ
体育館には、あまり多くない数の生徒。一応三学年、それぞれバラバラに立っていて、話したりしていた。もしかして緊張してるの、あたしだけ!?
あたしが周りをキョロキョロしていれば、見覚えのある男子が二人。
「あれ…」
「あ! アリスちゃんにゆっきー!」
西野君にげん君がこっちに走ってきた。
「あれ、ゆっきーも放送聞こえたの?」
「え、あぁまぁ…」
どういう事なのか、あたしには全く理解できないのですが、ね。
でも、彼らなら知ってる感じだし、聞いてみようか…。
「ねぇ…」
『はーい、それでは皆来たかな? じゃあ学年別にまずは分かれてね』
遮られたぜ。
少し虚しいまま、取り敢えず学年別、という事で一年生が固まっているところへ向かう。
何をするんだろう。
疑問に思いながら顔を上げれば、金髪の先輩が上に設置されているステージに立っていた。何か口に加えてるけど、あれ何。棒付き飴?
それを加えながら、マイクを使って話している。なくても声大きいのだけれど。
『じゃあ、まずは自己紹介ね。ボクはさっき放送流した生徒会長の中頭黄蘭』
会長が自己紹介すれば、三年から知っとるわー! というコメントが飛ぶ。それにいろいろ返してる会長さん、大変そうだな。
『それで隣にいるのが、副会長の藤原紫恩ちゃんね。美人でしょぅいててっ!』
「一々一言多いのよアンタは!」
副会長さんの蹴りが決まった。いいぞー! と三年の先輩が叫んでいる。哀れだ。
暫くしてから復活した会長さんが、再びマイクを手に持って、話始める。
『えっとそれじゃあ、大体の人は知ってると思うけど、新人さんも居ると思うので、説明からするね』
会長さんはそう言うと、会長さんがあたしを見て、あたし達の目が合う。
え、え? 何で目があった? 偶然ではない。確信を持って、笑みを浮かべながらあたしを見ていた。こんなにたくさんの人がいるのに、何故一瞬であたしを見つけられたのか。てか、何であたしが新人と分かったのか。…あ、髪色かな…。見た事ねぇ色が居るぜ! みたいな? うん、きっとそうだ。
自己完結していれば、会長さんは再び話し始める。
『では、委員会決めを発表したいと思いまーす!』
「委員会決め?」
あたしが疑問を浮かべるのに対し、周りの皆はテンションが上がっている。あたしだけじゃない? こんな疑問に思ってるの。
委員会決めるのなんて、普通クラスごとに決めるんじゃ…。
そう思っていると、会長さんが何か紙を広げた。続いて、副会長さんが大きな紙を手に持っている。
『じゃ、発表するよ。委員会は、平等になるために、ボクと紫恩ちゃんが決めました。不満は受け付けませーん』
すると、副会長さんが大きな紙を広げ、皆の視線が移る。
『まず最初に生徒会に書かれてる子、こっちおいでー』
生徒会って、全校生徒の選挙で決めるんじゃないんだ…。独特だなぁ。
そう思っていれば、あたしの隣にいた男子が動いた。ちらりと見れば、あたしと同じ背丈の男の子。サラサラな黒髪に緑色のカチューシャ。イケメンという分類だろう。
そんな彼と、今日の新入生代表で挨拶した彼も居た。えっと、だれだっけ、確か武関玄眞君だ。
二年生の方からは、明るいオレンジに近い茶色の髪をポニテにしてまとめた、女の先輩。もう一人は銀に近い髪色の男の先輩。
そんな彼らを見て、まわりはざわつき、彼等は気にせず上のステージに立った。
『と言うことで、これが我々生徒会になりましたー。以後お見知りおきを』
そう言って微笑む先輩は、ぶっちゃけ怖いです。悪人面というやつだろうか。そんなのを気にしていないかのような、上にいる彼等。
全く分からん。
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