分からないことだらけ
「今年一年、担任になりました龍野白奈です。宜しくね」
担任になった白奈先生。何か龍野は言いにくいから、白奈で良いよ、と言っていた。歳も近いし、結構フレンドリーな先生なんだな、と思ってみる。
因みに、あたしの席は一番前だった。何これ辛っ。しかもど真ん中。生徒が一番嫌う席NO.1。授業中死亡フラグ。
そう思っていれば、まず最初に今年一年間の流れの書かれてあるプリントを渡され、それの軽い説明がなされる。この学校は結構行事にも力を入れているらしい。転入の際、それが唯一の救いだったのを覚えている。
まず一番近いのが春の球技大会。次に体育祭だ。春と夏の間、つまり梅雨に行われる。けど雨で延期になったことはないんだって。すごい。
「まぁ、これで簡単な流れじゃ以上だけど、何か質問とか有る?」
先生がそう言えば、特にないでーす、とノリのいい子が返していた。こういう子がいると先生もやりやすいって、前聞いたことがある。
それに先生も納得したようで、次に進んだ。
「じゃあ、委員会決めは…。それは後だったね」
? 何で? 思わず頭にクエスチョンマークが浮かぶ。けれど周りの子は普通にしているので、突っ込まないでおこう。
「じゃあ、クラス委員長は…」
その委員長を始め、色々な係りが決められていく。因みに全員ではなくて、本当に数人ずつだ。少し助かったかも。なんて思いながら、小さく欠伸をする。
ーーーピンポンパンポン
何か間の抜けたようなチャイムが鳴ったなぁ。
そう思ってウトウトしていたのが、パッチリ目が覚めた。軽く目を擦るも、周りの子は普通に周りの子と話したり笑っている。
あれ?
何人かは放送の続きを待っている感じだけど、ほんの数人だ。
あたしが疑問に思ってれば、放送が続いた。
『えー、この放送が聞こえる人へ! ボクは生徒会長の中頭黄蘭です。えーっと、これが聞こえた人は、放課後、体育館に来るように! 会長命令です! 以上!』
プツン。さっきのチャイムはもう鳴らさないのか。なんて思っていたら、放送を聞いていた子達がざわつき出す。何だろう、聞こえていた人って、皆聞こえてたんじゃないの?
あたしが混乱していたら、先生が授業を終わらせた。と言うことは、今日はこれで終わり。
放課後になるわけだ。
「えっと、体育館…?」
今日行ったところで合ってるよね…?
あたしがそう思っていれば、後ろから背中を軽く叩かれる。振り向けばあっちゃんが居た。
「放送、聞こえました、よね?」
「え、あっ、うん」
「では、行きましょう?」
「うん」
あっちゃんに従って、体育館に行こうとするが、周りの子はリュックを背負ったり、鞄を手に帰ろうとしていた。
え、え? 皆行かないの!?
「大丈夫ですよ、由希さん。これは私達にしか聞こえません」
「え、ええ?」
混乱したまま、あたしはあっちゃんと体育館に向かった。
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