この手を取って
えと、まずはどれから聞けば良いのかな…!? 取りあえず、自分が一番混乱したことから…。
「えっと、あたしがしたことって…何か分かる…?」
あたしがそう聞けば、彼女は少し悩んでから口を開く。
「由希さんは″異能者″と言う言葉を御存知ですか?」
「異能者…?」
聞いたことのない単語だ…。あたしが頭を傾ければ、あっちゃんは面倒がらずに説明してくれた。
異能者というのは、実は世間一般的に認められた人たちのことで、それぞれ不思議な能力を使える者達のことだそうだ。
全ての人々が知っているわけではなく、あたしの様に全く関わらずに過ごしてきた人には知らない人も居るらしい。それを聞いて少し安心した。
その人達は戸籍などにも表示され、一生その能力と共に暮らしていくことになる。
「その人達は子供の頃に能力に目覚めます。大人になって目覚める人は聞いたことがありません」
「その人達はどうするの?」
「ある学校に通って、能力を使いこなせるようにします」
学校…。そんな所があるのか…。
「時羽学園です」
「は、え………えぇぇぇ!?」
思わず立ち上がって叫んでしまう。ハッとして周りを見渡せば、此方を見ているお客さん。す、すみません騒がしかったですよね…。軽く頭をペコペコと下げてから椅子に座り直す。
今聞いた学校の名前は、今日憂鬱になっていた転校の、その行く学校の名前。
まさか、これからあたしが通うところになる学校が、そんな所だったなんて…!
「由希さんも通うのですか?」
「え?」
何で分かるの? いや、あたしの行動からすれば分かるかもしれないけれど…。
あたしがジッとあっちゃんを見ていれば、彼女もあたしを見返してくる。先に口を開いたのはあたしだ。
「あっちゃんも、なの?」
あたしがそう聞けば、彼女は少し目を伏せてから首を縦に振る。そ、そうだったのか…。あっちゃんも時羽学園…! 良かった、仲良くなれた子が同じ学校で…。
じゃあ、彼女の能力は何なのだろうか…。
「由希さん、何か頭の中で動物を思い浮かべてみて下さい」
「え? 動物?」
そうだなぁ、何でも良いのかな? じゃあゴールデンレトリバーで…。
頭の中でレトリバーが尻尾を振っているところを想像してみれば、彼女は口を開いた。
「由希さんは、犬を想像しましたよね?」
「え?」
「因みにゴールデンレトリバー」
「えぇぇ!?」
な、何で分かったの!? エスパー!? そう言えば、さっきも似たようなことも有ったような…。
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