体育祭 前

 そして、無事選手入場も終わり、皆で各軍学年ごとに並ぶ。その後は開式の言葉から始まり選手宣誓、準備体操と続く。
 選手宣言は、各団長が前に出て、おなじみの言葉を言っていく。こうやって見ると、先輩たちってかっこいいよなー…。

 挨拶が終わって準備運動なんだけど…。
 ラジオ体操ってどんなだったっけ。最後にやったのは小学6年…? 中学の時は、普通の準備運動だった気がするから…。
 体育委員長として水憐先輩が生徒の方を向いて、ラジを体操をはじめる。普段の先輩を見てる所為かとてもシュール。
 同じことを考えてるのが数人いるのか、少し動きがいびつない人が数人…。あぁ、ゆう君達だった。

 そしてそのあとの校長の挨拶も終わり、皆で各軍分けられた自分の席に向かう。


「最初って何だっけ?」
「男子の50m一斉走ですね」

 あっちゃんがパンフレットを開きながら、あたしの問いに答えた。そっか、じゃあゆうくん達も走るわけね。
 皆で、男子が走る近くまで移動し、選手を応援する。因みに、この1年が終われば、2年男子。その後に1年女子、2年女子。最後に3年の男女がそれぞれ分かれてやるそうだ。なんでそうなった、と思ったけど、よく考えたら先輩たちは最後の体育祭なんだもな…。そう考えると、少ししんみりしてしまった。
 焔真先輩や彩兎先輩、豪波先輩と桜嵐先輩。この間会ったばかりなのに、もうこんな行事は次一緒にやることがないんだ。
 1年と3年って、近いようで遠いんだな…。


「フレーフレー黒軍!」
「頑張れ青軍!」
「赤軍ファイトー!」
「白軍勝てー!」

 各軍の応援が飛ぶ中、男子の50m走が始まる。
 ゴールするたびに歓声が起こったり、励ましたり、冗談を飛ばしたり。走る男子も、ふざけて二人三脚で走って、皆が笑ってたり。けど先生に怒られてた。何してんだか…。

 皆で笑いながら応援していれば、とあるメンツが見える。

「あ、げん君だ。それに竜峰君も」
「あら、本当ですね」

 あたしがポツリとつぶやけば、あっちゃんもポツリと呟く。
 すると、近くの女子の会話が聞こえてきた。

「東堂君って、格好良いよね」
「えー…。私は竜峰君の方が」
「ねー。二人共普段はあまり騒がないけど、運動神経いいし、クールって感じで良いよね」

 クール…。とは。
 普段のげん君を思い出してみる。ゆう君に怒鳴ったり、私にチョップ入れたり、眉間にシワを寄せて怒ったり。
 それに引き換え竜峰君は、確かにクールだけど…。
 思わず吹き出しそうになるのを必死で堪えた。あっちゃんが私の背中をポンと叩くので、何かと思えば、あまり笑わなようにしてくださいね? と言ってきた。
 いや、肩を震わしているあっちゃんに言われても説得力無い。
 あっちゃんでもそんな笑うんだ…。と思ったら、げん君の他に、竜峰君の方でも笑えたそうだ。どうしてだろう…。と思ったら、姉弟愛って素晴らしいと思うんです。とのこと。どういうことなの。

《よーい…》

 パァンッ!と合図と共に、一斉に走り出す。
 その中でも、2人は一際早く、他の人たちから余裕を持ってゴールした。数人の女子から歓声が上がる。青軍と赤軍以外の女子からも。
 皆、見た目に騙されちゃいけないよ。本当はクールどころか、煩いんだから。お節介だし。
 結局、勝ったのは竜峰君らしい。流石だ…。げん君もバスケ部なのに…。

 1つの勝負が終われば、直ぐに次のグループ。
 次のグループはゆう君と武関君、紅煉君だ。なんかお馴染みのメンバーばかり…。

「この競争は、足の速さが似てる人達同士でやってるんですよ」
「そうなんだ!」
「はい。そのほうがあまり差も出ないので」

 確かに…。一緒の人とすごい距離離れてたらやだもんね…。走る順番もあとの方が早いという話らしい。ということは、ゆう君の方が早いんだ…。

「ゆう君凄いね…」
「そうですね」

 そんなゆう君は、隣に立ってる紅煉君と軽く笑いながら談笑してる。そしてこちの方を見て、あたしとあっちゃん(多方8割あっちゃんだろうが)が目に入ったらしい。パァと顔を輝かせて手を振る。
 その様子を見て、周りの子も思わず笑みを浮かべた。あっちゃんはいつも通りの表情だけれど。

 そして先生のスタートの合図の後、一斉に走り出した。

「うわっ、早い」
「そうですね…」

 あたし達がそんなことを話してる間に、もうゴールしてしまった。ゆう君が1位、次に武関君、3位に紅煉君だ。ゆう君がめっちゃ嬉しそうにガッツポーズをしてる。なんか見てるあたしたちも嬉しくなる。
 そしてゆう君はこちを見て、満面の笑みでVサインをする。それにあっちゃんは軽く手を振って答えた。

「ツンデレ…?」
「どうしたんですか由希さん」

 ハッとなって呟いた言葉に、あっちゃんがツッコミを入れる。ごめんなんでもないよ。
 そんな事を考えているうちに、あっと言う間に1年男子の一斉走が終わった。

「次の次は私達ですから、向こうに行きましょう」
「あ、うん!」

 そうだ、次は女子の一斉走の準備しないとね。
 急いで集合場所に向かう。



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