あの人の影は未だわたしの前を歩く
体育祭目の前、てことでクラスTシャツが配られました。
体育祭は各クラスで別れて、それを各学年くっつけて行う。
まぁそれであたしは赤軍だったので、Tシャツは赤色。デザインは美術部が描いたらしい。素晴らしい。センスのないあたしには無理な話だ。
皆にそれが配られれば、皆の士気も高まる。やっぱりやるからには優勝したいもんねー…。
「こういうさ、各クラスで違うTシャツを当日見るのも、また楽しみだよね」
「そうだねー…」
ゆう君がTシャツを広げながら、笑みを見せて言ってくるので、あたしも笑みで返す。
明日には、校庭がカラフルになるんだろうなぁ。
そう思うと、今からでもワクワクする。
中学の時とはきっとレベルが違って、きっと盛大なんだろうな。こうやってクラスTシャツも、中学の時はなかった。いや、この学校はどうなのか分からないけど。
運動が苦手な子も多いと思うし、嫌いな子も多いともう。けど、やっぱり行事は楽しいものだよね。
クラスの雰囲気がとても明るくて、思わず笑みが浮かぶ。
今日は体育祭準備、ということで授業も午前中で終わり。午後からは委員会、部活、それぞれが役割を振られたことをこなしていく。
まぁ、それはともかく、前日準備として、あたし達は生活委員の先輩達と一緒に、医療テントなどを建てていく。
「せーので持ち上げるよ」
「せーの!!」
火燐先輩の言葉で、あたしと火燐先輩、焔真先輩と彩兎先輩はテントを建てた。なぜこの4人かと言われれば、力と身長順だ。輝先輩は軽く涙目だけど…。うん、まあ男として女子に負けるというのは、嫌だもんなあ…。
ふぅ、と小さく息を吐く。
明日の天気は晴れだと天気予報は言っていたし、何も心配はなさそう。
そう言えば、今日知ったんだけど、1学年種目の種目、「借り者競争」なんだって。物じゃなくて者らしい。どうせ物でも人じゃないといけないパターン多いのになぁ。
「結構毎年の注目種目だったりするそうですよ」
「と、いうと?」
隣にいたあっちゃんの言葉に、思わず聞き返す。
「くじ引きの内容は、私たちと同い年の人が用意しますからね」
「………あー、分かった。そういうことか」
もう悟った。しょうがないじゃんね。だって、まあ青春だもんね。そういうことだろう!
「あーあ、私も焔真達と同じ軍が良かったなー」
「良いじゃないか。過去最高の軍事力だろ」
「軍事力ってもー…」
た、確かにもう軍事力といってもおかしくないような…! いや、失礼かな。
でも、本当に火燐先輩達の居る青軍は、怖くてしょうがない。何せ火燐先輩が居るというだけで結構怖いのに、そこに朱理先輩や輝先輩、竜峰くんと武関君。それに千束先輩も居る。もうラスボス並だよこれ…。
「ふふっ、でも青軍は赤軍に負けちゃうんじゃない?」
「お、彩兎言ったな! 火燐スゲェぞコイツ。障害物リレー1回クラスで試しにやったら、ぶっちぎりだぜ」
「もしかして破壊でもした?」
「なぜバレたし」
やっぱり怖いなー…。同じ2年じゃなかったのが、これ程安心できるなんて…。
「ま、そんなことより。今日は早く寝て、明日に備えてくださいねー」
「はーい」
火燐先輩の言葉に、あたし達は(一部を除いて)大きな返事をした。
明日の体育祭、楽しみだなあ…。
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