「…ねぇ……どうするの?これ」


「知らん…うちに聞くな」




今、ハルと悠美がいるのはある人の部屋。


そしてハル達の前にいるのは学園の教師、鈴木啓である。

啓は生徒の前にも関わらず、ぐっすりと眠っている。


「…だって…こんなことになるとか思わんやん?」


「まぁねー……さすがにハルでもこんなことになるとは思わなかったよ…」


「やろぉ?」


「うん……まさか、ね」



遡ること数時間前――



ハルと悠美は学校帰りに何か買って行こうとコンビニで品物を選んでいた。


「んー…何にしよかなぁ…」


「悠美、ハルがおごるのは1つだけだからね…」

「わかってるって!……あ…」


「…?」


ハルは(ほんとに分かってんのか…)と心の中で呟きながら悠美が見ている方を見る。


「……あ。レッちゃんだ…」


そこにいたのは悠美の担任、篠原怜音だった。


「レッちゃん、何でこんなとこにおるんやろ…」


「……さぁ…。ま、学校は終わってるし、別におかしくはないよね。」


「うん…って、あ!待て!もう一人誰かおるで!」


悠美はハルを引っ張り、商品の影に隠れる。


「……あ、あれって…」


「…鈴木先生やな…」


悠美はニヤリと笑うと、買い物カゴをハルにズイッと渡した。


「……なに…」


「買いたいやつ入れといたから、買ってきて!レッちゃん達にバレんと買うには今しかないねん!早く!!」


ハルは「仕方ないな…」と呟きながらカゴをレジへと持っていった。


ハルは悠美を見失わないように様子を見ながら会計を済ます。


「760円でーす」


「あぁ、はい。」



そしてお金を払い、悠美の方に目をやると…



「!?」


(いない?!)


悠美の姿が消えていた。

変わりにいたのは玲音と啓の二人で、幸いこちらには気づいていないようだ。


ハルはバレると悠美がうるさそうなので、とりあえず店から出ることにした。


「ったく……悠美のやつ…どこ行ったよ…」


周囲を見渡すが、それらしい姿は見えな………………いや、道の向こうにある草のそのまた向こう。

木の幹の影に、見覚えのあるシルエットを見つけた。


「……いた…」






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