ハルの聞いた噂通り、部屋は1つしか無かった。


「…鍵、開いてるかな……」


「…開いてないやろ…普通は…」


「普通は、でしょ?」


「お……おう…」


ハルはゆっくりとドアノブを捻る。


「……!?」


「……開いてる」


ハルはニヤリと笑うとドアをゆっくりと開けた。


「レッちゃん帰って来えへん内に入んぞ!」


「了解…」


カチャ――パタン



「…突入完了……」


「おぉ…じゃあ、次。鈴木先生探すぞ」



ハルと悠美は身を潜めながら啓を探す。


トイレ、風呂場、洗面所にはとりあえずはいなかった。
次に、リビング。


「……おらん…な」


「じゃあ……他のどこか…」


ハルは躊躇せずにクローゼット等を開けてみるが、もちろんそんなところに居るはずもなく…


「………残るは……」


「……寝室…か…」


悠美はおそるおそる扉を開けた。

と、そこには――……






「…………鈴木先生…発見…」


「…そ…そうやな…」


二人はそう呟くと、堂々と部屋に入って行く。


「……鈴木先生…寝てる‥よな?」


「うん‥寝てる。いつもの鈴木先生なら、寝てなかったら直ぐに起きてくるよ‥」


「やんなぁ」


二人はとりあえず一息つく。
そして、ベッドの横にあるイスに座ろうとしたその瞬間――



ガチャ――


『はぁー‥疲れた。』



「「!!??」」


なんと、怜音が帰って来たのだ。
扉の向こうからは怜音の声がはっきりと聞こえる。

ハルと悠美は声を潜めながら話す。


「どどどどどうする!?」


「と…とりあえず、隠れよ……バレたらやばいだろうし…」


「そやな……」


二人は部屋にちょっと大きめのクローゼットを見つけた。
とりあえず、そこに身を隠す。


「…こ…ここで大丈夫かなぁ…」


「…大丈夫だよ…多分…」


二人がヒソヒソと話をしていると、扉の開く音が聞こえた。






  



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テーマ「人外ファンタジー」
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