怜音と啓が乗った車はGPSを見る限りでは、とあるマンションで停まった。
見た目や造りはマンションだが、どうやらこれは教員用の寮のようなものらしい。
「あ!!車あったで!」
「ちょ……待っ……ハァハァ…ッ…」
ハルが息切れするのも当たり前。
校舎近くから車を追いかけて走って来たのだ。普通なら息切れどころではないだろう。
「何や何や〜。これくらいでばててたらあかんで〜」
「うっ…うるっさいな…ッ」
ハルは深呼吸をすると息を整えた。
「ん…もう良いな。じゃあ乗り込むで!」
「もー…バレたらやばくないわけ…?」
「だーいじょーぶやって!」
悠美が躊躇なく正面から入って行くと、エレベーターが降りてきた。
「「!?」」
ハルはとっさに物陰へ隠れ、悠美は階段にダッシュしたようだ。
エレベーターから出てきたのは………
「………レッちゃん…?」
「レッちゃんだけか……?」
啓はどこに行ったのだろうか。
ハルは怜音が通り過ぎると、急いで悠美の方へと走った。
「………悠美…どうすんの」
「……そりゃあレッちゃんの部屋に行くしかないやろ…」
「……珍しいじゃん…ハルも、おんなじこと考えてたよ。」
「まじでか。ま、とりあえず階段で上がろう。さっき停まってたんは6階やから…レッちゃんの部屋は6階やな……」
ハルと、悠美は階段で出来るだけ静かに上がって行った。
「………ここか…」
「多分部屋は1つしか無さそうだから……」
「何で判んねん」
「風の噂。」
「なるほどな」
「とりあえず、行こう。」
「おお。」
二人は階段からゆっくりと、部屋の前まで歩く。
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