「………え…」
どうやら会長も気づかなかったらしく、驚いた様子で真里亞を見ていた。
「……会長様…旦那……今の話‥何…?」
真里亞の後ろには少し戸惑ったオカン、菜月ちゃん、ハルちゃんの3人が立っていた。
3人は空気を読んでか、奥にあるテントの方へと歩いていった。
「……ほっ」
ってちょっと待て、
そっちには鈴木先生がいたはず。
僕は急いで3人を止めようとするが、真里亞が声をあげる。
「逃げないで!!」
僕はビクッとなった。
が、どうやら先程の言葉は僕だけに向けられたものじゃないらしい。
「……会長様も…旦那もっ……もう、逃げないでよ…っ!!」
「………'もう'?」
「私……知ってたよ。旦那も会長様も、私が留学するまで何か隠してたこと…。」
「……え…」
「私に言えないことなら仕方ないって、思ってた。」
真里亞は下を向き、表情が見えなくなる。
「……でもっ……今の話は…なに…?私は…仕組まれて留学したの?私とあの人を引き離す為に、あなた達が……!!」
真里亞の威圧に圧倒される。
「……いや、違う。留学を仕向けたのは俺だよ」
「会長…!」
「………会長様……いいえ、安藤蓮……あなたは…自分が何をしたか‥‥分かってるの!?」
「……ごめん」
「……謝って済む問題じゃないよ!!…旦那も、気づいてたんでしょ?何で…何で教えてくれなかったの?!私は旦那のこと信じてたのに!!…どうして……どうして?!」
「……真里…っ」
パチンッ
近づこうとするが、手を叩かれる。
「近づかないで!!……もうやだ…。誰も信じれない……誰も信じたくない……。みんなみんなみんな…敵……私の気持ちなんか考えてない……どうせ私なんかみんなの思い通りになるために産まれてきた人形なんだよ…!私の仲間なんか…いないんだ!!!」
「っ……真里亞!それは違う…!」
会長が真里亞に言い聞かせるが、聞く耳を持たない。
騒ぎを聞きつけて、ハルちゃん達が駆け寄ってきた。
後ろには………
あいつ―――
やっぱり居たんだ。
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