「んー…どっかに知り合い居らんかなぁ…」


「まずは会長様やな!!」


「うー…気分悪い…」


「辰巳…ほんとに大丈夫なの…?」


「おー…辰巳…そんなに辛いなら保険テント行ったほうがええんちゃう?」


「………保険し‥つ?」


「おう!あんまり無理したらあかんやろ?」


「保険室ってゆうか、まぁ仮設テントなんだけど…」


「なんなら俺らもついてくで?」


「え……あ‥保険室…は……」


――バチッ

と、私は旦那と目が会った。


「………一人で行けます!!!!」



そして旦那は急に大声をあげ、急いでテントの方へと走って行った。



「え…だ、旦那…?」


「なんやぁ?まぁあんだけ元気なら大丈夫か。」


「……オカン…空気読め…」


「え?……………あ!あぁー!!ごめん!」


「……いいよ。次からは気をつけなよね…」


「おお!ってハルに謝ってへんわ!!」



話をしていると、私の後ろから声がかけられる。


「やぁ!みんな、元気だった?」


「んー」
「出た……」
「おーっ!」



目の前の三人が、皆少し驚いた顔をする。



「?…誰……ってわぁ!」


「声だけじゃ分からない?」



突然後ろから抱きつかれ、目を塞がれる。そしてふいに耳元から聞き覚えのある声が聞こえた。


「…っ!!かっ…会長様?!」


「おー!正解!声、覚えててくれたんだね」


「こっ…こんなことするのなんて会長様しかいないもん!!」



顔が熱い。

見なくても顔が赤いのが分かる。


「へぇ…それじゃあ、こんなことされたのって…今までで俺だけってコト?」


「あ、当たり前じゃんか!!」


会長様はクスリと笑う。


「そっか…。なぁんだ」


「……?」



――会長様のその微笑みの意味が、その時の私に分かるはずもなくて




「それにしても、イケメンになったなぁ…!」


「え?俺、顔は元から結構自信あったんだけどな……?」


「自意識過剰って言葉知ってる?」


「ははっ!ハルちゃんはやっぱり変わらないね」


「うっさい死ね」


「それはまぁ置いといて、会長最近どうよ?」


「俺、今は会長様じゃないんだけどなぁ…――」



会長様は見違えた。
元が良いからか、顔立ちはそこいらのイケメン俳優とは比べ物にはならない。
頭もきれていて、今はある大きな会社の会長らしい。




「――その歳で会長?すごいなぁ…」


「別に、すごくないよ」


会長様は笑いながら皆の質問を返した。



  



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