菜月はハルの言葉に目を丸くする。 だが、顔はあくまでもにやけている。 「へぇ〜…何やってたん何やってたん?」 「えーっとねー。ほら、あれだよ。会長様と悠美はデキてるって噂をね、」 「えぇっ!?オカンって会長様とデキてたん!?」 「ちょっ!声でかい…!」 ハルが話を続けようとしている所に、菜月が大声で'嘘の噂'を口にする。 ハルは急いで弁解する。 「違うから。それはハルが作った嘘だよ。」 呆れながら話すハル。 「あ、なーんや。そうなんや」 「うん。………悠美が今ここにいなくて良かったね…」 悠美は今はいないようで、先程の菜月の声は聞いていなかったようだ。 「…あれ?さっきまでおったのに…」 菜月は周りを見渡す。 「どこ行ったんやろ」 「あぁ、真里亞たちのほうじゃないかな…」 ハルは同じ部活の仲間たちがいる方を見ながら言う。 「あ、ほんまや。おったおった。相手したれへんから拗ねたんかなww」 「そうかもね…まぁ面白いから良いけど。」 「ハルちゃん、意味分からんからww」 「うん、ごめん」 「いや、ええよ別に謝らんでもww」 「うん。」 「…………」 「…………」 会話がなくなり、少しの沈黙。 先にその沈黙を破ったのは菜月の方だった。 「…あー……暇やし、真里さん達んとこでも行く?」 「んー…。まぁ暇だしね。そうしようか」 そうして二人は部活の仲間の元へと行った。そんな会話を悠美とハルがしていると、後ろから元気そうな声がかけられる。 「何やってんの?二人とも」 「あれ、菜月やん」 「何や…俺じゃ不満か。」 声の主は、入野菜月。 悠美とは違う地域だが、関西からやってきた元気な女子だ。 結構モテているのだが、本人は自覚がないようだ。'モテている'と言うのは男子からも女子からも。 と言ってもこの学園には男子などいないし、ましてや女子に興味のある男などいないのだが…。 「だいたい、あんたら声でかいでー。向こうまで聞こえてたわ」 菜月は舞台の端を指しながら言う。 「え?嘘やん!?」 「何で俺がここで嘘つかなあかんの」 [*前] | [次#] [戻る] |