そんな会話を悠美とハルがしていると、後ろから元気そうな声がかけられる。 「何やってんの?二人とも」 「あれ、菜月やん」 「何や…俺じゃ不満か。」 声の主は、入野菜月。 悠美とは違う地域だが、関西からやってきた元気な女子だ。 結構モテているのだが、本人は自覚がないようだ。'モテている'と言うのは男子からも女子からも。 と言ってもこの学園には男子などいないし、ましてや女子に興味のある男などいないのだが…。 「だいたい、あんたら声でかいでー。向こうまで聞こえてたわ」 菜月は舞台の端を指しながら言う。 「え?嘘やん!?」 「何で俺がここで嘘つかなあかんの」 「ハルは基本声でかくないから、向こうまで聞こえてたのは悠美の声だね。」 ハルは得意気に話す。 それに菜月は笑いながら答える。 「うん。そやで。さすがハルちゃんやな。あれか?悠美を辱しめるためにわざと大声出させてたんか?」 「うーん……いや、そんなつもりは多分なかった」 「へぇー…珍しいなぁ」 ハルは菜月の言葉に目を丸くする。 「……珍しい…?」 「え…あぁーうん。だって、ハルちゃんが悠美に嫌がらせせぇへんのって珍しいなぁと思って」 菜月は当たり前のように話す。菜月の後ろでは悠美がキーキー言っているが、ハルはそんなことは気にせずに答えた。 「いや、そっちとは違う嫌がらせしてたからさ。」 [*前] | [次#] [戻る] |