教室に入ると少しの黄色い声が聞こえたが、ハルは気にせずロッカーへと葵を詰め込んだ。


「わっ…ちょちょっ…!…ここ!?ここに隠れるの?」


「うん。ここ。」


後ろからは既に美術科の先生だろうか。
『日向ー!!』と怒声が聞こえる。


ハルはキャーキャー言っていたならチクリはしないだろうと周りの子には何も言わなかった。

隣では辰巳がため息をついている。



ガラッ――


教室の戸が開き、先生が入ってきた。


ハルと辰巳は席に座っており、なるべく怪しくならないように話をしていた。


「おーい。ここに日向葵ってゆう背の高い女たらし来なかったか?」



先生は教室の皆に聞くが、知らないと答える。


ハルは内心ホッとする。


「そうか。なら違うとこか…」


美術科の先生はブツブツと呟きながら教室を後にした。


一瞬シンとする教室。
ハルは席を立つと廊下に先程の先生がいないことを確認し、ロッカーをあけた。


「ぷはっ‥!はぁっ‥はっ……せんこーどっか行った?」


ロッカーの中はやはり息苦しかったのだろうか。葵は息を整えながらハルに話しかけた。


「うん。行ったよ多分」


「多分じゃ困るんだけどなぁ…」


「…だってハルにも分かんないし。先生が隠れんのめちゃくちゃ上手かったりしたら分かんないよ」


葵はクスッと笑うと、髪をあげながら返す。


「ふっ。そんな先生だったら俺もいやだ」




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