キーンコーンカーンコーン… 1限目終了の鐘の音と同時に生徒達は立ち上がる。 「きりーつ。礼ー。」 学級委員が号令を言い終わると生徒達は各々の行動を取る。 その中には、『Bクラスの転校生』を見に行く生徒も多いようだ。 AクラスとBクラスは隣近所なわけで。 Bクラスから1限目が始まる前に黄色い声が聞こえて来たわけで。 もちろんAクラスの生徒も気になるわけだ。 そしてほとんどの生徒が顔を赤くして帰ってくる。 話を聞いていると、「やばい!イケメン!!」とのこと。 そしてハルは今まさに、そんな周りの生徒達の会話から情報を集めている最中だ。 「……辰巳ー…今の聞いた…?」 「なにがだ?」 「転校生。イケメンなんだってさ。」 「へぇー。」 ハルと辰巳は席が窓際前後になった。 ハルが後ろで辰巳が前。 「まぁ体育とか一緒だし、今から見に行かなくても会えるよ」 「うん。ま、ハルは体育出る気ないけど」 「えー…でも体育の担当ってべーさんじゃなかったか?」 「え゛っ」 ハルはイスの上に膝を立てて体育座りのように座っていたが、ガタッと床に足を下ろした。 「ベー様か…あの人怖そうだから嫌なんだよねぇ…」 ハルは真っ青になりながら机に伏せ、何かをブツブツと呟き始めた。 と、ハルはハッと我に返る。 「…違う。話ずれてるから。こんな話じゃなかったから…」 ハルは気をとり直して、転校生の話に戻る。 [*前] | [次#] [戻る] |