「考えてみなよ…あいつがあの3人と仲良くなったらハルの生活が……これからの生活が…」


ハルは頭を抱えながら顔を真っ青にしている。


「ハ…ハルちゃん、気をしっかり」


「……とりあえず…ハルは部屋に戻るよ……」


「え、あ……おぉ…ってハルちゃん、自分の部屋分かってんのか?」


ハルは「知ってる〜…」と呟くとフラフラと部屋に戻って行った。


ハルがいつ部屋割りを見たかは謎。


「……ハルちゃん……ほんとに大丈夫かよ…」


そして真里亞達は葵と話をしているため、一人になった辰巳。

と、ふと考える。


(ハルちゃんが話してた葵さんとハルちゃんの過去………あれは……)



ハルが自ら話した過去。

その話を聞いている時はなんだか丸め込まれたような気もした辰巳だった。


(ましてや…今でさえこんな二人が…昔から仲がいい訳ない……よな…)


ハルと葵の過去には本当は何があったんだろう。


辰巳は急に疑問に思った。


そんなこと考えたって仕方がないのだが、誰かに聞くわけにもいかない。

それに葵に聞くとハルに情報が漏れそうで怖い。
その以前に葵にも本当のことはきっと教えてもらえないだろう。



「……葵さんとの何を隠してるんだ…ハルちゃん…」



辰巳はボソリと呟いた。







その言葉に反応した人が一人だけいるとは気づかずに…




――――その頃ハルは…


「ふぅ……」


部屋の二段ベッドの上で寝転がっていた。

天井を眺めながら呟く。


「……葵……」


幼なじみの名前を呟くその表情は…
懐かしむような顔では無い。
悲しむような顔でもない。
憎むような顔でもない。
喜んでいるような顔でもない。




いつも通りの、無表情。



一体ハルと葵の過去に何があったのか。


それを知るのは
もう少し後になるだろう。





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