「………そか。ま、ハルが決めたなら俺は何も言わないよ」


「……うん。いつ帰って来れるか分からないんだ…在学中は外との接触は一切NGらしいから…」


「なにそれ、何かすごいなぁ」


「…でしょ」


「……へぇ〜……ま、俺とハルはいつまでも友達だから。またいつでも会えるよ。入ったからには絶対卒業しろよー?」


葵はそう言うと、またニカッと笑って見せた。

ハルは少しキョトンとすると、フッと微笑み返した。

「当たり前じゃん?」






―――ハルと葵は親友だった。

家も隣、産まれた時も一緒。
親同士も仲が良いいし、
部屋も窓が向かい合わせで、窓を開ければ直ぐに話を出来た。


二人は何かあればお互いに報告しあった。
親のこと、近所のこと、友達のこと、学校のこと。
何でも話した。

学校なんかでは、二人でいたずらをしては一緒に怒られた。そして一緒に笑った。


二人は、端から見ると落ち着いた子で、冷めたような二人だったが、本人達はそれでも楽しんでいた。



二人は、いつだったか、離れてもずっとずっと友達だと、約束した―――





なのに、






―――出発当日
「……それじゃあ、お母さん、お父さん、行ってきます。」



「ええ。頑張ってらっしゃいね」


「父さん達は、いつでもここに居るから。何かあったら直ぐに帰って来なさい」


「……はい」


ハルはもうすぐ出発だ。
飛行機に乗る前に、皆と少しのお別れの挨拶をしている。

そこには葵の家族も来てくれていた。


「…それにしても…葵、来ないわねぇ…」


「ごめんね、ハルちゃん…葵のやつ、朝から何処かに出かけてしまってね……」


「……そうなんですか。ま、いいです。葵とは卒業したら絶対会うって約束しましたから。」


ハルはニコッと笑って見せる。


「あら、いつの間に?」


「ふふっ、ハルったら、寂しいなら寂しいって言っていいのよ?」


「いえ…寂しいのは寂しいし、不安ですけど…それよりも楽しみなんで。大丈夫です」


「そう…。…ハル、頑張りなさいよ」


「はい。お母さんも、元気で。」


ハルは時計を見て「時間だ」と言うと荷物を手に、腐女子学園へと出発した。

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