「あ……葵は寮も違うしー…悠美も……まだ部屋とか近いかも分からないし…」


「そんなの関係ないぞ?一番ハルちゃんに遠慮なく接してくれそうな二人を選んだだけだ。」


辰巳はそう言うと、携帯に文字を打ち始める。

打ち終わると、笑顔でハルに見せた。


「………'ハルちゃんを苛めたいですか?'……って……?」


どうやら辰巳は本気のようだ。


「…っ、もう!仕方ないな!…わかった!わかったよ。学校ちゃんと行く。」


ハルはやっと観念したようだ。
辰巳はパッと笑顔になる。


「お、ほんとか?」


「ほんとほんと。」


「そうか。ならもう良いな。」


辰巳はそう言うと、携帯の画面を消す。


「……てか、何で葵のメルアド知ってんの…」


「さっきメール入ってた。いつのまにかメアド知られてたみたいだ」


「…………あいつ…」


「……気になったんだが、ハルちゃんは葵さんとはどんな関係なんだ?」


辰巳の突然の質問に、ハルは少し考えた。


「んー……あえて言うなら……腐れ縁…?」


「へ?」


「あ、いや…まぁ…幼なじみなんだよね。葵とハル。」


「へぇー…」

「小学校でもずっと仲良しで……色んな奴にいたずらとかして、周りからドSコンビとか言われてたんだけど、中学はハルがこっちに来たからさ、別れちゃって……まぁ葵は性格あのままだったみたいだけど…」



「………そうなのか…」


と、辰巳は葵の言葉を思い出す。



「ちょっと待て、さっきもおかしいと思ったんだよ。葵さん……高校の話してなかったか?」



よく思い出してみれば、葵は男子校の話をしていた。
だが年齢は同い年だとも言っていた。


「あー、あれ年齢誤魔化してるんだよ。」


ハルは辰巳の問いにしれっと答える。


「…………はぁ?」


「あれ、気づかなかった?葵の話聞いてて。」


「え…?いや、おかしいなぁとは思ったぞ?……だけど……」


「まぁそれがバレて前の学校退学になったんだろうね。辞めたって言ってたけど」



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