「………今、聞き捨てならないセリフが聞こえたんだけど…」


「……気のせいじゃない?」


「いや、気のせいじゃないな。僕は耳には結構自信あるんだ」


「へぇ。」



ハルの聞き捨てならない言葉に、辰巳が反応するものの、ハルは関係ないと言った様子でしれっとしている。

辰巳は怒鳴りたいのも山々だが、こんな場所で大声を上げるわけにもいかない。

とりあえず落ち着いて、笑顔でハルに言葉を放つ。


「……今年1年は、何が何でも学校来ような?ハルちゃん」



「い・や・だ。」


笑顔の辰巳に対し、ハルも笑顔で返す。


「……ハルちゃん…まぁな、仕方ないよ。去年まではな。クラスに友達いなかったし、まだ留年の心配もなかった。」


辰巳は優しい笑顔で話す。


「だが…だがな?今年はもう中3だ。留年の可能性も出てくる。それに幸運にも僕と同じクラスだ。だから…ほら、学校来よう?」



「……やだ。学校自体がめんどくさいし……テストで良い点とってたら大丈夫でしょ」



ハルはあくまでも行かないとゆう姿勢を崩さないようだ。

そんなハルに対し、辰巳は『へぇ…』と呟くとニヤリと笑い、ポケットから携帯を取り出した。


「……携帯なんか取り出して…何する気?」


「…いや、ハルちゃんがその気なら、僕も本気出そうかなって」


あくまでも笑う辰巳だが、何を考えているのか分からない。
だがハルはまだ強気な言葉を吐く。


「…ま、何されてもハルは行かないけどね…」


「…そっかそっか。ならオカンと葵さんにも協力してもらうよ。」


「!?」


辰巳は携帯のメモリから悠美と葵のアドレスを出し、ハルに画面を見せる。


「オカンも葵さんも、ハルちゃんを苛めることなら快く受けてくれると思うんだ。」



笑顔。



辰巳はあくまでも笑う。



「ちょ……辰巳…本気…?」



「あぁ、本気だぞ?オカンにはハルちゃんを早く起こしてもらって、葵さんには迎えに行ってもらう。僕は朝は忙しいから迎えに行けないからさ、葵さんに頼むんだ」




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