「……え…」


「…あ…はい…」




ハルと少女は少しの間ポカンとしていたが、直ぐに我に返る。



「……ごめん…辰巳。」


「あ…うん…もう良いよ」



「迫力のある子だね…君…」



「…葵……ほんとにうるさいから。黙っててよ」


「ごめんそれ無理なお願いだな」


「……こんの…ドSが…」


「ん。ありがとう。それ誉め言葉だから。」


「…葵…さん?」


辰巳はハルと少女の話を聞き、少女の名前を知る。念のために確認をした。



「ん?あぁー、そうだよ。俺の名前は向日葵。ひまわりって読むひとよくいるけど、間違えないでね?'ひゅうが あおい'だから」


「そうなんですか?……分かりました」


辰巳が言葉を返すと、少女――葵は誰も頼んでもいないのだが、自己紹介を始めだした。


「あ、俺は今年から転入なんだけど、君達と同学年だから敬語じゃなくていいよー。」


「…前の学校は退学だっけ?」


「違うから。前の学校は元男子校の学校で周りが男ばっかで地獄だったから、周りが女子ばっかの女子校に入学しようと思って学校やめた。で、同じ女子校なら友達が行ってるとこのが良いかなと思って。ここの試験通って無事合格したわけだよ。おわかり?」


「そうなんだ…。何か…女の子…好きなんですね…」


辰巳は葵の話を聞き、少し青い顔で会話を試みる。


「ん、まぁね。元々とはいえ男子校に行かなきゃなんなかった時はショックだったよ。なんてったって、女の子が大好きだから!でも…ま、男子校に行けたおかげで顔はいいやつダチに出来たし。それで女の子にモテるなら嬉しいから、良かったんだけどね」


「……いちいち話長いんだよ葵は…」


「ハルは相変わらずドSみたいだね?……いいなぁ…ドSって…俺のドS心が掻き立てられるよ…」


と、葵の顔はまるで悪人のような顔つきになった。



「出た…。てか…その悪い趣味いい加減やめたら?迷惑。」


ハルは辰巳の肩に隠れ、葵に言葉をかける。


「え……あの……?」


一方、自分の身に隠れられた辰巳は戸惑ってしまう。

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