「…釘山に…噂流される……」 「……嫌…なのか?」 「当たり前だろ…っ。…そんな…教師同士がなんて、示しがつかねぇじゃんか…!」 グサリ。 微妙にグサリときた玲音。 ――……俺との噂が嫌だって訳じゃねぇみたいだから……い‥いいけどよ… 少し落ち込む。 そんな玲音を見た啓は、自分の言葉に落ち込んだとは知らず、玲音を元気付けようとする。 「あ……まぁ、釘山にはまた説教すれば良いだろっ!な?そんな、落ち込むなって!」 ――落ち込んでんのはお前のせいだよ…… そんなことを心の中で思う玲音だが、キチンと礼を言う。 「…あぁ…そうだな。ありがとう。」 そして先程の啓の言葉を思い出す。 「それより、'釘山が噂流す'って言うの、あれ多分大丈夫だろ」 「…何でだ…?」 「釘山もそこまでひでぇことしねぇよ」 ――それに、この学園の奴等は既に色んな事を考えてるだろーからな 遠い目をして『ははは』と笑う玲音を不思議に思いながらも、啓の顔は明るくなる。 「そ…そうか。そうだよな!ありがとうな、篠原!」 「……あぁ。」 と、二人の間に良い雰囲気が流れたと思った途端、玲音の真後ろから声が聞こえた。 「また顔にやけてますよー」 「うわ!って釘山!」 それはハルだった。 どうやら放送部の五人は挨拶を終え、放送室へ戻って来たようだ。 ひらひらと笑顔で手を降るハルに、玲音は笑顔で振り向く。 「…釘山ァ、お前…覚悟は出来てるな…?」 「覚悟って何の覚悟ですかっ!この変態…っ!」 ……無論、このあとハルが玲音からこっぴどく説教されたのは言うまでもない…。 [*前] | [次#] [戻る] |